退職前に他社に勤務していた社員の取り扱いについて

退職日まで有休消化をしていた社員が、その期間中に他社へ就職していたようです。年金事務所から、社会保険加入が2重になっているという連絡があって初めて発覚しました。

 

今回は年金事務所の指摘に沿い、社会保険の対応を行いましたが、退職する会社としても転職先の会社としても、モラルやコンプライアンスのうえで、このような事例は望ましいものではないと考えております。

 

このような事例を起こさないために、一般的によくとられている対応としてはどのようなものがあるのでしょうか?
当社では副業禁止の旨を就業規則で定めており、退職者は退職日1ヶ月前までに退職届を提出する事も同様です。これだけでは十分ではなかった事を踏まえますと、退職時に念書を求めるなどになるのかとは思います。

 

そもそも、転職先の会社が、社会保険の加入や労働契約期間が重複する事を認可していた点にも問題があるのではないかと思っております。履歴書や職務経歴書などでも確認できますし、一般論として、転職先の会社が善管注意義務を怠ったのではないかと考えます。

退職する側の会社からなんらかの処置を求めることはありうるのでしょうか?

回答

事前の防止策という観点からみますと、「退職の際に、次の就職先が決まっているのか、決まっている場合は入社日がいつかを尋ね、自社の退職日以降であることを確認する」などが通常考えられます。

本人は副業禁止に該当するとは全く思わずに次の就職先の入社日を決めている可能性がありますので、よく話をし、副業禁止に抵触する旨や保険の問題が発生すると認識させることで退職日を早めたり、再就職先の入社日を調整してもらうなどの対応をしてもらいましょう。
もちろん、最終的には本人が再就職先に関わることを正直に言うかなど、やはりモラルの問題になる点はご留意ください。

処置を求めるという部分につきましては、本人が再就職先に申告していなかった場合も考えられますし、何らかの処置を求めるのは難しいかと思います。
もちろん、「保険の加入日は御社(再就職先)で調整してほしい」など伝えることはできますが、再就職先を知らなければ本人を経由しないとできない話であり、容易に話が伝わらず手間ばかりかかる可能性もあります。
最終的には御社と従業員ご本人の間での話になってまいりますので、きちんと退職時にお話をされるのが一番です。
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maiko mashio

外資系企業の常駐と千人規模の社会保険手続きを担当。

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