通勤中の靴擦れって労災?!

通勤中に新しい靴を履いて出社したところ、ひどい靴擦れを起こして歩行が困難になりました。痛みが強く病院で治療を受けようと思いますが、このような場合、労働基準監督署に申請すれば労災(通勤災害)として認定される可能性はありますか?

回答

 原則として通勤災害とは認められず、不認定(私傷病扱い)となります。
 靴の不適合などは労働者の個人的な要因とみなされるためです。治療の際は、労災保険ではなくご自身の「健康保険」を使用して受診してください。ただし、会社指定の特殊な靴の着用が義務付けられている場合など、ごく例外的なケースでは認定が検討される余地があります。

【解説と法的根拠】
1. 原則不認定となる法的根拠(通勤起因性の欠如)
 ■労働者災害補償保険法(労災保険法)第7条第1項第3号では、労災の対象を「労働者の通勤による
  負傷、疾病、障害又は死亡 (通勤災害)」と定めています。
 ■この「通勤による」と認められるためには、「通勤と負傷との間に相当因果関係(通勤起因性)」
  が存在することが必要です。具体的には、交通事故や駅の階段での転倒など「通勤に通常伴う客観
  的な危険」が現実化した場合にのみ認められます(昭和48年基発第644号等 行政解釈)。
 ◎靴擦れについては、以下のような「個人の私的事情や身体的素因」が主な原因と判断されます。
 ・靴のサイズやデザインが足に合っていない
 ・新品の靴を履いたことによるもの
 ・個人の歩き方の癖や皮膚の強弱
  したがって、通勤という行為そのものに潜む危険が原因とは言えず、相当因果関係が否定されるた
  め、通勤災害とは認められません。

2. 例外的に認定が検討される可能性があるケース
 ◎労働者の私的な選択ではなく、業務上の指示や特殊な環境が原因で靴擦れが生じたと客観的に証明
  できる場合は、例外的に認定の対象となる可能性があります。
 ・会社指定靴や安全靴の強制
  会社から特定の作業靴や安全靴での通勤・就業を義務付けられており、その靴の特殊な構造や欠陥
  が直接の原因で靴擦れを起こしたような場合。
 ・異常事態による長距離歩行
  自然災害や大規模な交通機関の麻痺により、会社の指示や規定に従って何十キロも歩いて帰宅・出
  社せざるを得ず、通常の通勤の範囲を超えた過酷な歩行が原因となった場合。

3. 実務上の対応と注意点
 ・受診時の対応
  原則として「私傷病」の扱いとなりますので、医療機関の窓口では健康保険証を提示して受診して
  ください。誤って「通勤途中のケガです(労災です)」と伝えてしまうと、健康保険の適用が一時
  的に保留される等のトラブルになることがあるため注意が必要です。
 ・症状が重篤化した場合
  靴擦れの傷口から細菌が入り、蜂窩織炎(ほうかしえん)などの重大な感染症を引き起こすケース
  もあります。もし、上記の「例外ケース」に該当するような事情があり重症化した場合は、速やか
  に会社(人事労務担当者)または管轄の労働基準監督署へご相談ください。
 (※最終的な労災の適否を判断するのは労働基準監督署となります。)
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公開日: 労災・安全衛生

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