業務中、交通事故に!!

会社従業員が、業務中に交通事故にあいました。相手側の保険で100%処理をするため、労災には該当しないとのことなのですが、労基署に死傷病報告書の提出は必要ですか?また第三者行為災害届の提出は必要ですか?(診断書に「骨に異常はないが、全治2週間のリハビリを要する」との記載があったため、会社として5日間の特別休暇を指示しました。)

回答

1. 労働者死傷病報告の提出:【必須】
 ◎相手方の保険で処理する場合であっても、労働基準監督署への報告は法律上の義務です。
 ◎理由: 労働者死傷病報告は、労災保険を使うかどうかに関わらず、「業務中に怪我が発生した事
     実」を報告するものだからです。
 ◎今回のケース: 会社が「5日間の特別休暇」を指示したとのことですので、法律上は「休業4日以
     上」に該当します。この場合、2025年1月からの新運用に基づき、遅滞なく電子申請(報
     告)を行う必要があります。
【根拠法令】
 ◆労働安全衛生法 第100条: 厚生労働大臣、労働基準監督署長等は、事業者に対し、必要な事項を
  報告させることができると定めています。
 ◆労働安全衛生規則 第97条: 労働者が労働災害により死亡し、又は四日以上休業したときは、遅滞
  なく所轄労働基準監督署長に報告書を提出しなければならないと定められています。

2. 第三者行為災害届の提出:【不要】
 ◎こちらは「労災保険から給付(治療費や休業補償)を受ける場合」にのみ提出が必要な書類です。
 ◎理由: この書類は、労災保険と相手側の自賠責保険による「二重取り」を防ぎ、国が相手側へ後日
     請求(求償権の行使)を行うためのものです。
 ◎今回のケース: 相手側の保険で100%処理し、労災保険への請求を一切行わないのであれば、提出
     する必要はありません。
【根拠法令】
 ◆労働者災害補償保険法 第12条の4: 第三者の行為によって生じた災害について、政府が保険給付を行った場合に、その給付の限度で損害賠償請求権を取得する旨が定められています。給付を受けない場合はこの規定が適用されません。

3. 注意点:会社としての「休業」の判断
「特別休暇を付与したから、欠勤(休業)ではない」と判断されることがありますが、これは誤りです。行政上の「休業」とは、「怪我のために、通常の業務に就けなかったこと」を指します。有給休暇や会社の特別休暇で給与を補填したとしても、「本来働くべき日に怪我で働けなかった」のであれば、それは報告対象の休業日数にカウントされます。

☆まとめ☆
・2026年現在の実務として、貴社が対応すべき内容は以下の通りです。
 ◎労働者死傷病報告:
  ・提出:必要
  ・形式: 厚生労働省の「入力支援サービス」等を用いた電子申請が原則。
  ・期限: 5日間の休業が発生しているため、「遅滞なく(速やかに)」提出。
 ◎第三者行為災害届:
  ・提出:不要(労災保険の給付を1円も受けない場合)。

【アドバイス】
「労災には該当しない」というのは、あくまで「労災保険(お金)を使わない」という意味であり、法的には「労働災害」そのものです。報告を怠ると「労災隠し」として処罰の対象(50万円以下の罰金)となるリスクがあるため、必ず死傷病報告のみは完了させてください。

今回の事故について、労働基準監督署から追加で「事故状況の図面」などを求められることがありますが、電子申請時にドラレコの画像や現場写真を添付しておくとスムーズに受理されます。
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