育児休業給付金の申請は必要?

男性社員が出産から8週間以内に10日間の育児休業を取得し、育児休業給付金の申請をしてきました。弊社では育児休業を取得した場合、育児休業規程にて最初の10日間は有給と定めております。その場合、育児休業給付金の申請は行わなくても良いでしょうか?

回答

育児休業給付金は、原則として休業中に賃金が支払われないことを前提とした制度です。
そのため、育児休業期間に会社から賃金が支払われた場合、その賃金額に応じて給付金が
減額されたり、全額不支給になったりします。

★調整方法
 1)賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の80%以上支払われた場合
    育児休業給付金は支給されません(全額不支給)。
 2)賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%(または30%)を超え、
   80%未満支払われた場合
    給付金が減額されて支給されます。
 3)賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%(または30%)以下の場合
    給付金は減額されずに支給されます。
※「休業開始時賃金日額」は原則として育児休業開始前6か月間の賃金総額を180で割った額

ご質問のケースの場合、「出生時育児休業(産後パパ育休)」の給付金に該当しますが、
通常の育児休業給付金と同様に、賃金の支給がある場合は調整が行われます。
そして会社から有給扱いとして100%の賃金が支払われる10日間の育児休業の場合、上記の
支給調整のルールにより、給付金は全額不支給となる可能性が高いです。
しかし、これは支給申請手続きを経て、ハローワーク(公共職業安定所)が決定するものです。
申請を行わなければ、「給付金の支給を辞退した」とみなされ、万が一、会社から支払われた
賃金が上記の基準額を下回り、給付金の支給対象となる状況になったとしても、給付金を受け
取ることはできません。

なお育児休業給付金は、原則として従業員からの申請が必要です。
今回は社員の方から給付金の申請の申し出があったとの事ですので、会社として申請手続きを
行う必要があります。
また給付金の支給額がゼロであったとしても、従業員が育児休業を取得し、適切な手続きを
行ったという記録が残ります。

以上より、御社で最初の10日間を有給としている場合、給付金の支給は難しい可能性が高いですが、
従業員の方の権利として、会社として育児休業給付金の支給申請手続きを適切に行うことをお勧め
します。

申請手続きの詳細や必要書類については、管轄のハローワークにご確認をお願いいたします。
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