退職代行の対応について

お世話になっております。

社員から退職代行サービスを通じて退職の申し出がありました。
社員本人が会社に直接連絡を取ることが難しく、退職代行会社を通じた手続き以外は対応できないとのことです。
この場合、会社はどのように対応すればよいでしょうか?

回答

従業員が退職代行サービスを利用した場合でも、法律を順守している限り、基本的には拒否することはできません。
会社としては以下の対応を行うことが必要になります。

1.退職代行サービスの資格有無を確認
弁護士法第72条により、弁護士でない者が報酬を目的として法律事務を行うことは違法とされています。
弁護士資格を持たない者がこれを行うことを「非弁行為」と呼び、非弁行為を行った場合には
2年以下の懲役または300万円以下の罰金が適用されます。
ただ従業員本人の退職意向を単に「伝達」する場合には違法性がなく、会社は退職代行会社によって下記を確認する必要がございます。

①弁護士による退職代行の場合
弁護士は正当な代理権を持ち、退職意思の伝達や会社との交渉を行うことが可能です。

②非弁護士による退職代行の場合
退職意思が本人からのものであることを確認するために、以下の書類を要求することが推奨されます。
・委任状
・印鑑登録証明書のコピー

2.従業員の雇用形態を確認
従業員の意思により一方的に労働契約を解消できるのは、無期雇用であることを前提としています。
有期雇用の場合、原則として労働契約の期間内に従業員からの意思で退職することはできません。
ただ有期雇用で契約期間中であっても、下記が行われていた場合は、「やむを得ない事由」に該当し、退職が認められるケースがございます。
・ハラスメントが行われていた場合
・病気など特別な事情で就業が困難な場合

3.即日退職の可否
退職代行から「即日退職」と伝えられることが多いですが、法律上、会社には即日退職を認める義務はありません。
民法第627条第1項により、退職の申し出から2週間が経過すれば、企業の承諾がなくても労働契約が終了します。

4. 引継ぎや備品返却の対応
退職意思が本人からのものであることを確認できた場合、以下の対応を行います。
・退職届の提出依頼
※法的には必ずしも書面で提出する必要は無く、口頭のみでもよいとしていますがトラブル防止の観点から提出してもらうほうが良いかと存じます。
・貸与品の返却依頼

5.まとめ
近年、退職代行サービスを利用するケースが増加しており、今後もその需要が拡大していくことが予想されます。
企業を守るためには、退職時の手続きや従業員の引継ぎ義務に関するルールを就業規則に明確に定めておくことが重要です。
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