懲戒処分、減給の上限額は?
就業規則に違反した社員がおり、懲戒処分の内容を検討しております。その懲戒の中の「減給」についてですが、就業規則には
「減給――1回の額が平均賃金の1日分の半額以内、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内とする。」
と記載があります。具体的にはどのように計算し、減給上限はいくらになるのでしょうか。
回答
まず平均賃金とは、原則として事由の発生した日以前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で除した金額となります。賃金は通勤手当、時間外手当など諸手当を含み、税金や社会保険料などの控除をする前の賃金の総額により計算します。
<例>事由発生日:10月15日 賃金計算期間:月末締め
基本給:300,000円 通勤費:10,000円
期間 暦日数 残業代 支給額
9/1~9/30 30日 10,000円 320,000円
8/1~8/31 31日 5,000円 315,000円
7/1~7/31 31日 15,000円 325,000円
合計 暦日数92日 支給額960,000円
よって平均賃金は960,000円÷92日=10,434円78銭(銭未満を切捨て)、
減給額は平均賃金の半額以下の為、10,434÷2=5,217円以下でなければなりません。
次に総額ですが、減給の事由がいくつか発生した場合でも、その減給額の合計が一賃金支払期の賃金総額の10分の1以下でなくてはならないという上限の金額を算出します。
10/1~10/31の支払総額が310,000円であった場合、減給額は、310,000円×1/10=31,000円以下でなければなりません。
もし上記の条件で減給事由が6回発生した場合、5,217円(平均賃金の半額)×6回=31,302円 となり、上限の31,000円を超えてしまう為、超えてしまった302円は次月の減給に持ち越しとなります。
懲戒(減給)を行う際には適正な基準にて判断した上で、上限を超えて減給しないよう気をつけましょう。
<例>事由発生日:10月15日 賃金計算期間:月末締め
基本給:300,000円 通勤費:10,000円
期間 暦日数 残業代 支給額
9/1~9/30 30日 10,000円 320,000円
8/1~8/31 31日 5,000円 315,000円
7/1~7/31 31日 15,000円 325,000円
合計 暦日数92日 支給額960,000円
よって平均賃金は960,000円÷92日=10,434円78銭(銭未満を切捨て)、
減給額は平均賃金の半額以下の為、10,434÷2=5,217円以下でなければなりません。
次に総額ですが、減給の事由がいくつか発生した場合でも、その減給額の合計が一賃金支払期の賃金総額の10分の1以下でなくてはならないという上限の金額を算出します。
10/1~10/31の支払総額が310,000円であった場合、減給額は、310,000円×1/10=31,000円以下でなければなりません。
もし上記の条件で減給事由が6回発生した場合、5,217円(平均賃金の半額)×6回=31,302円 となり、上限の31,000円を超えてしまう為、超えてしまった302円は次月の減給に持ち越しとなります。
懲戒(減給)を行う際には適正な基準にて判断した上で、上限を超えて減給しないよう気をつけましょう。
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公開日:
解雇・雇止め・懲戒