男性育休の社会保険料免除について

子供が産まれた男性社員へ育休について案内する際に、「月末に育休を取得すると社会保険料が免除になる」ということについてどう案内すべきか悩んでおります。

産育休の社会保険料の免除の趣旨は育てやすい社会的な環境づくりに資するという次世代育成支援の観点であり、男性が月末の1日のみ育休を取得し社会保険料の免除をすることは制度の趣旨に反することから、会社から大々的には案内は行わず本人から申し出があった場合のみ、社保料免除の手続きを行っていました。

ところが、2022年10月施行の法改正においても、社保料免除の条件として「月末育休取得」は残り、厚労省や年金機構からの書類に説明もございますので、会社としても大々的に案内して問題ないでしょうか。

回答

ご相談のありました件につきまして、回答いたします。

男性育休取得について、会社として積極的に推奨しているという主旨の案内を、社内周知することは法の趣旨にも沿ったことですので、企業として模範的な取り組みかと存じます。
ただ敢えて「月末1日取得にまつわる社保料免除」を会社側から積極的に案内する必要はないと存じます。

確かに「月末1日取得にまつわる社保料免除」について厚生労働省や年金機構から公表している書類に説明もございますが、制度の趣旨に反することから社員から社保料の取り扱いについては個別に質問を受けた場合についてのみ、詳細を伝えるという従来どおりのスタンスで、よろしいかと存じます。

その理由として今回お尋ねいただきました件につきまして、まずは状況を整理したいと存じます。

まず「例え法の趣旨から反していても、手続き上瑕疵がなければ問題ない。」ということです。
そしてさらに、そこには、道徳的な心情といった類のものが入り込む余地はございません。
もし本人からの月末1日取得による育児休業の申請を仮に拒否してしまいますと、反対に会社側の違法性が問われることにもなりかねません。

だだ、一方におきまして、よりクオリティーの高い“育メン”を輩出することや会社のイメージ・企業風土という面ではあまり良くないかと思われます。
例えば、育休に関しての認定マークの獲得・新卒採用の場で「男性育休取得推進」のアピール・ホームページ等で宣言などを実施することにより、採用応募数の上昇・企業イメージの向上に繋がる等が考えられます。
また従業員個人に対して会社が法の趣旨に反した方法を教えているのかといった感想を抱かせ、従業員個人が法律の抜け穴を探すような考え方になってしまう危険性が発生し、その結果人事側の対応が煩雑になるなど様々な影響が考えられます。

いずれにしましても、『月末1日のみ男性育休取得』を「会社および社員共々、社保料免除になる上、欠員を生じさせない優れもの」と捉えるのか、それとも「法の趣旨を逸脱した行為」と捉えるのかは、会社次第かと存じます。
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公開日: 労務管理 育児介護休業

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