労災による休業期間中に有給を使用することは可能?
労災事故が原因で負傷し、4日以上の休業が必要な従業員がいます。
該当の従業員から、休業補償で平均賃金の8割しか支給されないのであれば
「休業初日から年次有給休暇を使用し、有給を使い切ったら休業補償にしたい」という申出がありました。
労災原因の休業期間に有給を充てても問題ないのでしょうか?
回答
有給休暇は本来、休日のほかに毎年一定の休暇を与えることで労働者の心身のリフレッシュ等を図ることを目的として法律上認められたものです。
したがって、労災による休業中の者が有給の取得を申請してきたとしても、休業中ですのでこの場合に有給を与えることは、上記の有給の目的に反するとも考えられます。
しかし、年次有給休暇に関する最高裁判決(昭和48.3.6基発第110号)においては「有給を労働者がどのように利用するかは労働者の自由である」とされており、有給の取得目的が休養のためでないという理由で年休の請求を拒否することはできません。
よって、労災原因の休業期間に有給を充てることに問題はございません。
なお、労災で休業する場合、労災保険の休業補償給付は休業の4日目から支給され、休業最初の3日分については、使用者が労働基準法上の休業補償(療養中平均賃金の60%)を行わなければなりません。
この3日間の待機期間中の休業補償については、労働基準法76条により「業務上の傷病の療養のため、労働することができないために賃金を受けていないこと」が要件となっています。
そして、待機期間中に有給を請求して、有給を取得した場合、有給の手当が労働者に支払われることになります。これは、労働者の療養中の平均賃金の60%以上の賃金が支払われている場合にあたり、休業補償が行われたものとして取り扱われることになりますので、この場合、会社は重ねて休業補償をする必要はありません。
したがって、労災による休業中の者が有給の取得を申請してきたとしても、休業中ですのでこの場合に有給を与えることは、上記の有給の目的に反するとも考えられます。
しかし、年次有給休暇に関する最高裁判決(昭和48.3.6基発第110号)においては「有給を労働者がどのように利用するかは労働者の自由である」とされており、有給の取得目的が休養のためでないという理由で年休の請求を拒否することはできません。
よって、労災原因の休業期間に有給を充てることに問題はございません。
なお、労災で休業する場合、労災保険の休業補償給付は休業の4日目から支給され、休業最初の3日分については、使用者が労働基準法上の休業補償(療養中平均賃金の60%)を行わなければなりません。
この3日間の待機期間中の休業補償については、労働基準法76条により「業務上の傷病の療養のため、労働することができないために賃金を受けていないこと」が要件となっています。
そして、待機期間中に有給を請求して、有給を取得した場合、有給の手当が労働者に支払われることになります。これは、労働者の療養中の平均賃金の60%以上の賃金が支払われている場合にあたり、休業補償が行われたものとして取り扱われることになりますので、この場合、会社は重ねて休業補償をする必要はありません。
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公開日:
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