採用一時金、早期退職時に全額返金させることは可能か?
弊社は入社半年後に採用一時金を支給しています。「入社時に支給して欲しい」という希望が複数名から出たため、今後、入社時に支給し、自己都合で早期退職することとなった場合に全額返金させるよう規則変更し、誓約書を取ることを検討しています。注意点を教えて下さい。
回答
貴社の一時金の趣旨や金額、返金不要とする期間や他の条件が不明ですが、ご質問の規則変更案は、労働基準法第5条 (強制労働の禁止) および第16条 (賠償予定の禁止) に違反すると考えられますので、規則変更はせず、今までどおり入社半年後に支給することをお勧め致します。
労基法第5条では、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」と規定され、労働者の意思に反する労働の強制を禁止しています。
また、労基法第16条では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と規定され、違約金や損害賠償額を予定することによって労働者の退職の自由を制限する足止め策を禁止しています。
日本ポラロイド事件(東京地裁平成15年3月31日)では、採用一時金200万円支給、1年以内に退職した場合に全額返金させるという約定は無効とされました。約定は一定期間の拘束を意図した経済的足止め策であり、労働者の意思に反して労働を強制する不当な拘束手段に当たるため、労基法第5条および第16条に違反すると判断されました。また、一時金は給与月額の2倍相当であり、一度に返すのは容易ではなく退職を躊躇せざるをえない、と指摘しています。
なお、労基法16条では、実際に発生した損害(社員の重過失または故意に発生させた損害等)に応じた賠償金を支払わせることまでは禁止していません。
労基法第5条では、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」と規定され、労働者の意思に反する労働の強制を禁止しています。
また、労基法第16条では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と規定され、違約金や損害賠償額を予定することによって労働者の退職の自由を制限する足止め策を禁止しています。
日本ポラロイド事件(東京地裁平成15年3月31日)では、採用一時金200万円支給、1年以内に退職した場合に全額返金させるという約定は無効とされました。約定は一定期間の拘束を意図した経済的足止め策であり、労働者の意思に反して労働を強制する不当な拘束手段に当たるため、労基法第5条および第16条に違反すると判断されました。また、一時金は給与月額の2倍相当であり、一度に返すのは容易ではなく退職を躊躇せざるをえない、と指摘しています。
なお、労基法16条では、実際に発生した損害(社員の重過失または故意に発生させた損害等)に応じた賠償金を支払わせることまでは禁止していません。
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