二以上事業所勤務者の社会保険料はどのように決定される?

弊社で新たに勤務を開始した従業員が、年次有給休暇消化のため、前職をまだ退職していない状況です。

弊社と前職の会社の両方で社会保険に加入している場合、従業員の社会保険料はどのようになるのでしょうか。

毎月の給与ですが、当社は30万円で、前職の会社は20万円とのことです。

回答

従業員様は、二以上事業所勤務者に該当いたします。
複数の事業所で社会保険に加入している場合の社会保険料の計算は、各事業所のすべての報酬の合計により決定された標準報酬月額により算出された保険料を、各事業所の報酬で按分して計算をすることとなっています。
算出の仕方は以下のようになっております。(以下、御社をA社、前職をB社とします)

(1)それぞれの適用事業所から受ける報酬額を合算して標準報酬月額を決定します。
A社の報酬額:300,000円
B社の報酬額:200,000円   報酬合計:500,000円

健康保険の標準報酬月額 :500,000円
厚生年金保険の標準報酬月額:500,000円

(2)決定された標準報酬月額による保険料額を、それぞれの会社で受ける報酬額に応じて按分した保険料が徴収されます。
●A社の保険料の計算方法
健康保険料=500,000円×保険料率×3/5
厚生年金保険料=500,000円×保険料率×3/5

●B社の保険料の計算方法
健康保険料=500,000円×保険料率×2/5
厚生年金保険料=500,000円×保険料率×2/5

以上のような算出方法により、二以上勤務者の社会保険料は決定されます。

なお、二以上勤務者に該当する場合は事実発生から10日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。
この届出によって、メイン事業所とサブ事業所をご本人が選択しなければなりません。
届出の結果、選択した事業所の所在地を管轄する事務センター(または健康保険組合)が当該被保険者に関する事務を行うこととなります。
この届出を行うためには資格取得届が提出されていることが前提ですので、その点を確認してから提出するのがよいでしょう。
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