年末調整でふるさと納税の控除はできますか?

いつもお世話になっております。

年末調整の申告書回収にあたりまして、従業員から扶養控除申告書等と併せてふるさと納税に係る「寄附金控除に関する証明書」のご提出を頂きました。

年末調整でふるさと納税の控除は可能なのでしょうか?

回答

結論から申し上げますと、年末調整でふるさと納税の控除はできません。
ふるさと納税の寄附金は1月1日から12月31日までの1年間の総額で計算を行うため、12月給与支給のタイミングでは1年間の寄附金総額を確定できないためです。
参考までに年末調整で所得控除ができるものと、できないもの(確定申告が必要)を列挙させていただきます。

【年末調整で控除可能】
・扶養控除
・障害者控除
・勤労学生控除
・寡婦控除、ひとり親控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・基礎控除

【年末調整で控除不可能(確定申告が必要)】
・雑損控除
・医療費控除
・寄附金控除

ふるさと納税における控除については上記の内の寄附金控除に当たり、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税および個人住民税からそれぞれ控除が受けられる制度となっています。
そのため、ご提出頂いた証明書はご本人様に返送頂き、いずれか2つの方法でふるさと納税の控除を受けるようご案内下さい。

・確定申告
・ワンストップ特例制度

ワンストップ特例制度につきましては、ふるさと納税以外の医療費控除等の確定申告が不要な方で、なおかつ5団体以内の自治体にふるさと納税を行った方の場合、ふるさと納税を行った自治体に申請書を提出すれば寄附金控除を受けられるようになる制度となっています。そのため、6つ以上の自治体にふるさと納税を行った方や、確定申告を行う必要がある方についてはワンストップ特例制度での申請はできず、控除を受けるためには必ず確定申告を行わなければなりません。

また、確定申告とワンストップ特例制度では控除される税金が異なっており、確定申告では所得税と住民税がそれぞれ控除対象になります。一方、ワンストップ特例制度につきましては、所得税の控除ではなくふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う住民税の減額という形で控除が行われます。所得税の控除分もまとめて住民税から控除されるため、ワンストップ特例制度を利用しても、控除限度額を超えない限り、基本的には控除額に差はございません。

ワンストップ特例制度は確定申告に比べて比較的平易に手続きが行えますが、従業員様の収入状況や確定申告を実施するか否かによって対応が異なりますため、両方の説明を実施しどちらで手続きを実施するか判断頂くようにご案内頂ければと存じます。

参考URL:総務省「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の創設
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/topics/20150401.html#block02
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公開日: 税務・税法 賃金

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