研究開発業務に従事する労働者の36協定は?

弊社は新技術や新商品の研究開発業務を行っています。時間外労働の上限規制が適用されないようですが、時間外労働・休日労働に関する協定の作成・届出は必要なのでしょうか。

回答

労働時間は原則1日8時間・1週40時間以内、また、休日は原則毎週1回以上与えると労働基準法で定められていますので、業種を問わずこれを超えて労働させる場合には、時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)の締結と所轄労働基準監督署長への届出が必要です。

36協定で定める時間外労働の時間数については、大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から、原則月45時間・年360時間が上限という規制が設けられましたが、ご認識の通り新技術・新商品等の研究開発業務については、業務の特殊性から上限規制の適用除外とされています。

※新技術・新商品等の研究開発業務とは?
①自然科学、人文・社会科学の分野の基礎的又は応用的な学問上、技術上の問題を解明するための試験、研究、調査
②材料、製品、生産・製造工程等の開発又は技術的改善のための設計、製作、試験、検査
③システム、コンピュータ利用技術等の開発又は技術的改善のための企画、設計
④マーケティング・リサーチ、デザインの考案並びに広告計画におけるコンセプトワーク及びクリエイティブワーク
⑤その他①から④に相当する業務

つまり、時間外労働や休日労働を行わせる必要がある場合には必ず36協定の締結・届出をしなくてはならないが、限度時間(月45時間・年360時間)を超えて協定することが可能である、ということです。そのため、所轄労働基準監督署長に提出する36協定届は別様式(様式第9号の3)となっています。
※あくまでも新技術・新商品等の研究開発業務に従事する労働者であり、同じ会社内でも他の業務に従事する労働者は上限規制が適用されます。

但し、1週間当たり40時間を超えて労働した時間が月100時間を超えた労働者に対しては、医師の面接指導義務があり、必要に応じて就業場所の変更や職務内容の変更、有給休暇の付与等の措置を講じなくてはならない点、また、上記限度時間を超えて労働する労働者に対して、健康・福祉確保措置を協定する努力義務がある点についてご留意ください。

尚、新技術・新商品等の研究開発業務に従事する労働者についても、上限規制に対応できる場合には、それ以外の業務に従事する労働者と併記して様式第9号、第9号の2により届出を行うことが可能ですので、貴社の実情に合わせてどの様式を使用するか、ご判断いただければと存じます。
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公開日: 労使協定 採用・雇用

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