転籍者の就業促進定着手当受給は可能?

本年7月に入社した社員で、関連会社への転籍を予定しているものがおります。
本人に転籍について話したところ、転籍した場合、就業促進定着手当は受給できるのかという質問がありました。
従業員を転籍させた場合、就業促進定着手当は受給できるのでしょうか。また、そもそも就業促進定着手当とはどのようなものなのでしょうか。

回答

ご質問の件につきまして、結論から申し上げますと、入社してから満6カ月未満の方を転籍させた場合、就業促進定着手当は受給できません。

就業促進定着手当とは、入社時にハローワークから再就職手当の受給を受けた人が、継続して6カ月間勤務し、かつその6カ月間において、再就職先の賃金が離職前(前職場)の賃金より低い場合に受給できる手当です。

就業促進定着手当を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。

①再就職手当を受給していること
現在の職場で再就職手当の受給を受けていないと就業促進定着手当は受給できません。

②再就職手当の受給を受けた再就職先で、雇用保険に加入した状態で6ヶ月以上勤務していること
就業促進定着手当を受給する為には、再就職後同じ職場で6ヶ月以上勤務する必要があります。
ここで注意が必要なのは、人事異動等による転籍であっても、それによりハローワークでの事業所番号が変わってしまうと、転職という扱いになり、別の職場とみなされることです。
ここでいう「同じ職場」というのは、「ハローワークでの事業所番号に変更が無い」ということになります。

③再就職後の賃金が離職前より低いこと
就業促進定着手当は、離職前(前職)の賃金より再就職後6カ月間の賃金が低い場合に受給できます。
注意頂きたいのは、この場合の「低い」は総支給額では無く、1日当たりの賃金」であることです。
例えば1か月あたりの総支給額が離職前より下がっていても、それは勤務日数が少なくなったことによるもので、1日あたりの賃金で見ると上がっているような場合には、受給の対象外となります。

ご質問のケースでは、従業員の方を転籍させた場合、上記の要件のうち、②の要件を満たさないため、就業促進定着手当の受給が出来なくなります。

また、①の要件である再就職手当の受給ですが、1度受給されると以後3年間は受給できません。
その為、転籍後、改めて再就職手当および就業促進定着手当を受給して頂く、といったことはできませんのでご注意願います。

転籍により就業促進定着手当を受給出来ないという結果になった場合、ご本人様に不利益なこととなると同時に、マイナスの印象を抱かせる原因にもなります。
転籍が必要なのだとしても、まずはご本人様に説明の上、よく相談して頂き、きちんとご納得頂いた上で転籍して頂くのがよろしいかと存じます。
The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)

公開日: 雇用保険手続き

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑