勤続1年未満の社員から妊娠報告。育児休業給付金は受給できる?

勤続1年未満の社員から妊娠報告がありました。該当社員から育児休業給付金が受給できるかどうかと質問がありましたので教えてください。

入社前に正社員で8年勤務しておりましたが、5ヵ月程のブランクを経て当社に入社しています。失業手当(以下基本手当)は受けていなかったと記憶しています。

回答

 育児休業給付は、育児休業を開始した日の前2年間(要件緩和該当で最大4年間)に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヶ月以上あることが基本となります。この2年間は、雇用保険加入期間を指しますので、貴社のみならず、他社での加入期間も含めて考え、基本手当の受給資格決定を受けていない等、一定の条件のもとで被保険者期間を通算することができます。

 貴社のみで加入要件に達していない場合、前職の被保険者期間も通算して受給資格が確認できれば、育児休業給付金を受給することが可能となります。

 基本手当は受給していないとの事ですが、受給資格の決定を受けている場合、たとえ基本手当や再就職手当を受給していなくても被保険者期間は通算できなくなってしまいます。つまり、受給資格決定を受けた時点でリセットされてしまいます。

 今回のケースでは、受給資格の決定を受けているかが不明のため、まず、前職の離職票の“原本”をもっているか確認してみてください。受給資格の決定を受けていれば、ハローワークに離職票を提出しているため、原本はお手元に無いかと存じます。そもそも離職票を受け取っていなかった場合は、退職後にも発行してもらえますので、前職に依頼し入手いただければと存じます。

 冒頭にも記載がございますが、育児休業給付金の支給要件は、みなし被保険者期間が、休業開始前2年間(要件緩和該当で最大4年間)に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヶ月以上あることですが、この期間は被保険者が育児休業を開始した日を起点として算定されます。この期間が12ヵ月に満たない場合において、令和3年9月1日から産前休業開始日を起点としてみなし被保険者期間を算定することとされました。

 ご質問には記載がございませんが、産前産後休業は取得されているものと思われます。前職が通算されず、受給要件を満たしてない場合でも、産休開始までに勤続1年に達していれば、今回の改正で支給対象となり得る可能性がありますので、ご確認いただければと存じます。育児休業開始日が令和3年9月1日以降の方が対象となりますので、ご注意ください。

(参考URL)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000809393.pdf
厚生労働省「令和3年9月1日から、育児休業給付の関する被保険者期間の要件を一部変更します
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公開日: 雇用保険手続き

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