割増賃金の基礎から除外される住宅手当の要件について

弊社では家賃などの足しにしてもらうよう住宅手当を支給しています。

従業員の住んでいる都道府県によって家賃相場は異なるため、公平を期するように都道府県ごとの物価指数をもとに手当額を算出しています。

 

住宅手当は割増賃金の基礎から除外されることがあると聞きました。

除外となるのは「住宅に要する費用に応じて算定される手当」ということで、弊社のように家賃相場を考慮して支給額を算出していれば該当するのでしょうか。

回答

結論から申し上げますと、御社の「住宅手当」は割増賃金の基礎から除外されません。

労働基準法施行規則21条により割増賃金の基礎から除外することができる手当が限定列挙されておりますが、会社から支給される賃金は割増賃金の基礎に含めることが原則であり、当該規定はあくまで例外に過ぎません。
列挙されている手当は個人的な事情によって支給されるものであり、労働と直接的な関係が薄く割増賃金額に関わるのは公平さに欠けるという事情がございます。
よって手当の名前ではなく実質的に支給内容が要件に即していることが必要になります。

住宅手当につきましては、個々人が実際に要している費用(家賃、ローンなど)をもとに支給額が算出されている場合に当該規定に該当します。
地域ごとの物価の差をもとに算出された手当はいわゆる「地域手当」に性質の近いものであり、割増賃金の基礎から除外される「住宅手当」とはなりません。

御社におきましては「家賃などの足しにして欲しい」という意図で支給しているわけではありますが、現状の支給方法では割増賃金の基礎に含めていただくことが必要となります。

【割増賃金の基礎から除外することのできる手当】
1. 家族手当
2. 通勤手当
3. 別居手当
4. 子女教育手当
5. 住宅手当
6. 臨時に支払われた賃金
7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

【参考】
東京労働局『しっかりマスター 割増賃金編』
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