転籍が発生した場合の手続きは?

7月にグループ内での人事戦略の一環として、複数人がグループ内の別の会社に転籍することとなりました。当グループでは出向の前例はあるのですが、転籍の前例はありません。

社員の転籍にあたり、どのような手続きをする必要があるか、気を付けなければならないか、ご教授ください。

回答

グループ会社内での人材交流、人事戦略の一環として、転籍は発生しうる事象です。
転籍にあたっては、以下の手順を踏んでいただくのがよろしいかと考えます。なお、説明上
転籍前をA社、転籍後をB社とさせていただきます。

1. 労働条件通知
対象となる従業員へ、転籍後の労働条件を通知します。今回の事例は「グループ会社」とのことですので、就業規則等、A社、B社で変わらない点が多いかと思われますが、相違点については従業員への説明・同意が必要になります。もし、著しく不利益な場合は、B社の了解の上で、個別労働契約書を取り交わす等の対応が必要になります。

2. 人事担当者間での情報共有
対象者の氏名、生年月日、家族情報等の人事情報は、A社、B社、それぞれの人事担当者間での受け渡しになります。その他、A社での経歴(異動や昇給の履歴)、人事考課、賞罰、健康診断結果等を引き継ぐことにより、B社はその後の人事管理・戦略、人材育成に活用できると思われます。
また、「勤続年数」は転籍により途切れることなく、継続する取り扱いとするのが一般的です。有休付与日数、退職金、休職期間等、在籍期間の影響を受けるものは、注意が必要です。

3. 社会保険等の手続き
社会保険、雇用保険の手続きが必要になります。A社では資格喪失、B社では資格取得をすることになります。

4. 転籍後の注意点
退職金について、社内積み立てを行っている場合、退職給付引当金の引き継ぎが必要になります。経理担当者の方も交え、会社間でのやり取りを調整してください。
賞与について、A社での在籍期間分の賞与の支払いが発生します。従業員に対し、A社で払うかB社で払うかで取り扱いが変わる点がありますので、事象を整理の上、会社間で調整しましょう。

転籍は、グループ内の人事戦略とはいえ、会社が変わる異動のため、注意すべき点が多くあります。社員とのトラブルを回避するためにも、丁寧に説明をしながら、着実に手続きを進めていってください。
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公開日: 異動・出向・転籍

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