高年齢雇用継続給付金受給者の昇給について
4月に昇給を行いましたが、該当社員の中に高年齢雇用継続給付金を受給している社員がいます。基本給が上がることにより、受給額の減少等あると思いますが、実質的に本人収入は増加となりますでしょうか。昇給額は1万円となります。
回答
高年齢雇用継続給付金の支給額の計算は、支給対象月ごとに算出した賃金の低下率に応じて変化します。ここでいう低下率は、60歳到達時賃金と支給対象月を比較します。
①低下率≦61%の場合
支給額=実際に支払われた賃金×15%
②61%<低下率<75%の場合
支給額=実際に支払われた賃金×A%(支給率)
支給率(A)=(-183×賃金低下率+13,725)/(280×賃金低下率)×100
③75%≦低下率の場合
不支給
例として
60歳到達時賃金23万円
昇給前基本給→150,000円
昇給後基本給→160,000円
とした場合、
・昇給前の支給額
賃金低下率=15,0000/23,0000×100=65.21%
上記②の計算式より、
支給率は9.81%
支給額=15,0000×9.81%=14,715円
・昇給後の支給額
支給率→5.11%
支給額→16,0000×5.11%=8,176円
このように、支給対象月の賃金を、60歳到達時賃金の61%以内に抑えない限り、毎月の賃金が支給限度額に近づくにつれ、給付金の額は逓減します。
また、残業等により、支給対象月の賃金が60歳到達時賃金の75%以上となれば、給付金自体が支給されなくなります。
高年齢雇用継続給付金と毎月の基本給のみで考えるのであれば、昇給により毎月の基本給を上げるより、給付金の算定に影響しない、賞与などによる方法の方が、ご本人の収入的には多くなるかと存じます。
以上、ご参考になれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
①低下率≦61%の場合
支給額=実際に支払われた賃金×15%
②61%<低下率<75%の場合
支給額=実際に支払われた賃金×A%(支給率)
支給率(A)=(-183×賃金低下率+13,725)/(280×賃金低下率)×100
③75%≦低下率の場合
不支給
例として
60歳到達時賃金23万円
昇給前基本給→150,000円
昇給後基本給→160,000円
とした場合、
・昇給前の支給額
賃金低下率=15,0000/23,0000×100=65.21%
上記②の計算式より、
支給率は9.81%
支給額=15,0000×9.81%=14,715円
・昇給後の支給額
支給率→5.11%
支給額→16,0000×5.11%=8,176円
このように、支給対象月の賃金を、60歳到達時賃金の61%以内に抑えない限り、毎月の賃金が支給限度額に近づくにつれ、給付金の額は逓減します。
また、残業等により、支給対象月の賃金が60歳到達時賃金の75%以上となれば、給付金自体が支給されなくなります。
高年齢雇用継続給付金と毎月の基本給のみで考えるのであれば、昇給により毎月の基本給を上げるより、給付金の算定に影響しない、賞与などによる方法の方が、ご本人の収入的には多くなるかと存じます。
以上、ご参考になれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!