出向者の社会保険・労働保険について

今度新たに出向者を受け入れることになりました。
話し合いの結果、給与は出向先である弊社が全て支払うことになったのですが、社会保険や労働保険はどのような取扱いになるのでしょうか?

回答

出向は二重に雇用契約が成立することになりますので、賃金の支払い方法は次の3通りがあります。
①出向先の会社が賃金を支払う(出向元は全く支払わない)
②出向元の会社が賃金を支払う(出向先は全く支払わない)
③出向先と出向元の両方の会社が別々に賃金を支払う
どの方法で賃金を支払うのかによって、社会保険(健康保険と厚生年金保険)、労災保険、雇用保険それぞれの保険料の負担の方法が異なります。
なお、これは賃金の支払いをどちらが担当しているか(直接支払っているか)ということがポイントであり、どちらが実質負担しているかは関係ありません。

■社会保険(健康保険・厚生年金保険)
基本的に賃金を支払う側で適用され、その支払う賃金に基づいて保険料を納付します。
双方から賃金の支払いがある場合には、負担額の内容によっては二以上勤務の適用となり、賃金を合算して保険料を決定し、双方で保険料を賃金額に応じて按分して納付することになります。 
■労災保険
実際に労務提供している出向先において、出向先の事業内容に基づく保険料率で保険料を納付します。
双方から賃金の支払いがある場合には、出向先は出向元の賃金も合算して保険料を算出しなければなりません。
■雇用保険
多く賃金を支払っている方で適用となり、その支払う賃金のみに基づいて保険料を納付します。  

今回は出向先が全額支払う①となりますので、社会保険(健康保険と厚生年金保険)、労災保険、雇用保険の保険料は全て、出向先である貴社に納付義務があります。
この場合、社会保険(健康保険と厚生年金保険)と雇用保険は出向先で加入することになりますので、出向元で資格喪失の手続きを行って、出向先で資格取得の手続きを行う必要があります。
なお、会社が加入する健康保険(協会けんぽ、健康保険組合)が異なれば、健保・介護の保険料率も変わり、保険料負担が異なってきますので注意が必要です。
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