休業手当の支給がある場合は随時改定を行う?

2月から新型コロナの影響で社員のシフトを減らして一部休業とし、2月分(3月支給)給与より休業手当(平均賃金の60%)を支給しておりますが、住所変更に伴い1月支給給与から通勤手当の金額が変更になった社員がいます。

 

定時決定の場合は休業による休業手当(通常の給与額より低い金額)を支給されている月がある場合は基礎日数が17日以上でもその月を除いて定時決定を行うことになっているかと思いますが、今回のような場合はどのように随時改定を行えば宜しいのでしょうか。そもそも随時改定の対象にはならないのでしょうか。

回答

ご質問のケースのように固定的賃金の変動後に休業開始となり休業手当の支払いがある場合でも、通常の随時改定の要件に該当する場合は通常通り随時改定を行うこととなります。

随時改定に該当するか否か、いつ起算月になるかについては下記のポイントから判断することとなります。(疑義照会No.2010-603)

①継続した3か月間の実績が確保されているか
→「継続した3か月間の実績が確保されている」とは、変動後の報酬が3ヶ月連続で100%支給されている必要まではありません。例え変動後の3ヶ月の間に通常の給与額より低額の休業手当が支給されている月がある場合でも、支払基礎日数が17日以上の月が3ヶ月間継続している場合には継続した3か月間の実績が確保されているとみなされます。

②固定的賃金の変動が完全に反映された月はいつか
→通常の給与より低額の休業手当が支払われている場合や、月の途中で固定的賃金の変動が発生し日割り計算を行っている場合は固定的賃金の変動が完全に反映されたとはみなされません。休業が解消し休業手当ではなく通常の100%の給与支給になった月や日割りではなく完全に固定的賃金の変動が反映された月が起算月となります。

ご相談のケースでは1月支給給与にて通勤手当の日割り計算を行っていない場合は固定的賃金の変動の発生は1月となり、1月が随時改定の起算月となります。3月に休業手当の支払いはありますが、1~3月支給給与にて通常の随時改定の要件を満たしている場合は4月の随時改定となります。
1月支給給与にて通勤手当の日割り計算を行った場合はその翌月の2月が起算月となります。そして2~4月支給給与にて随時改定の要件を満たしている場合、5月の随時改定に該当することとなります。

※参考
もし1月支給給与から通勤手当が変更となり同時にその月に休業手当の支給も行われている場合は、②の通り1月は固定的賃金の変動が完全には反映されていないため随時改定の起算月とはなりません。休業が解消されて給与額が100%となった月が起算月となり、そこから3ヶ月間の報酬と基礎日数により随時改定に該当するか否かを判断することとなります。
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船水 希恵

バックオフィスと常駐先クライアント企業様にて、給与計算・社会保険手続き・労務相談・Excelを活用した業務改善支援に従事しています。 兎と亀で言うと亀タイプ。皆様のお役に立てるよう日々努めて参ります。 給与・手続き→労務相談・規程作成に業務の比重を移すべく鋭意自己研鑽中。

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