サインオンボーナス(入社支度金)の処理について
本年度より前職の年収(源泉徴収票を基準)を保証する方法で中途採用者の給与を決定することになりました。
早速6月より上記条件で数名採用予定ですが、当社は年俸制を導入している関係で、年の途中での入社の場合前職の年収と差額が発生します。
例えば、前職の年収が¥6,600,000であった場合、¥6,600,000を年俸として¥6,600,000÷12ヶ月=¥550,000が月額給与となります。
しかし6月1日入社の場合、仮に1月1日から5月31日まで前職で¥2,000,000の収入があったとして、以下の通り¥750,000の差額が発生します。
当社のイメージ年収:(前職1月~5月給与)+(¥550,000×7ヶ月)=¥6,600,000
実際の年収:¥2,000,000+(¥550,000×7ヶ月)=¥5,850,000(△¥750,000)
前職年収を本年も保証するという内容で既に内定も出している為、上記の差額をどうにか支給したいのですが、どのように支払えばいいでしょうか。
なお、差額を7ヶ月でならすという方法も検討しましたが、そうすると翌年の月額給与が著しく下がってしまう可能性があり、いくら合理的理由があるとはいえ該当社員にとっては良いイメージを抱かないと考えています。
回答
今回の差額の支給の方法としては、1.入社後にサインオンボーナス(入社支度金・一時金)として支給する、2.差額を7ヶ月でならす方法が考えらます。
サインオンボーナス(サイニングボーナス)とは、会社と内定者とが雇用契約の制約を確認し、勤労意欲を促すことを目的として支給されるもので、「支度金」「入社時一時金」といった名称でも呼ばれます。
これらの名称はあくまで法律上は定義のない名称であり、支給の際にはその実態に即して正確に処理を行うことが求められることに注意が必要です。つまり、「サインオンボーナスだからこういった処理をする」といった決まりはありません。
質問の内容を踏まえると、今回のサインオンボーナスは支給の目的は年俸(≒基本給)=労働の対償の補填であり、つまり将来の労働の対価と考えられます。
そのため、支給に際し賞与として社会保険・労働保険料を徴収する必要があると考えます。
このような一時金の支給を考えた時、「お祝金」として恩恵的な意味合いで支給することで社会保険上の賃金には該当しない=社会保険料の対象外とするケースもありますが、「お祝金」と称することですべてそうなるということではなく、その支給目的、算定方法を踏まえて処理を検討する必要があります。
また、多額のサインオンボーナスを支給してすぐに退職されることを考え、返還規程を定めるケースもあります。返還規程を設けること自体は違法でありませんが、返還事由が「入社1年以内に退職した場合はサインオンボーナスを全額返還する」というように退職の事由を奪う内容だと判断された場合、労働基準法5条(強制労働の禁止)、16条(賠償予定の禁止)に違反する可能性がありますのでご留意ください。
(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
上記のような一度に多額を支給することを回避したいということであれば、2.の在籍予定期間でならす、という方法が有効だと考えられます。
この場合、ならした差額部分は社会保険上の標準報酬の一部になりますので、入社時の標準報酬算定の基礎に含める必要があります。
サインオンボーナス(サイニングボーナス)とは、会社と内定者とが雇用契約の制約を確認し、勤労意欲を促すことを目的として支給されるもので、「支度金」「入社時一時金」といった名称でも呼ばれます。
これらの名称はあくまで法律上は定義のない名称であり、支給の際にはその実態に即して正確に処理を行うことが求められることに注意が必要です。つまり、「サインオンボーナスだからこういった処理をする」といった決まりはありません。
質問の内容を踏まえると、今回のサインオンボーナスは支給の目的は年俸(≒基本給)=労働の対償の補填であり、つまり将来の労働の対価と考えられます。
そのため、支給に際し賞与として社会保険・労働保険料を徴収する必要があると考えます。
このような一時金の支給を考えた時、「お祝金」として恩恵的な意味合いで支給することで社会保険上の賃金には該当しない=社会保険料の対象外とするケースもありますが、「お祝金」と称することですべてそうなるということではなく、その支給目的、算定方法を踏まえて処理を検討する必要があります。
また、多額のサインオンボーナスを支給してすぐに退職されることを考え、返還規程を定めるケースもあります。返還規程を設けること自体は違法でありませんが、返還事由が「入社1年以内に退職した場合はサインオンボーナスを全額返還する」というように退職の事由を奪う内容だと判断された場合、労働基準法5条(強制労働の禁止)、16条(賠償予定の禁止)に違反する可能性がありますのでご留意ください。
(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
上記のような一度に多額を支給することを回避したいということであれば、2.の在籍予定期間でならす、という方法が有効だと考えられます。
この場合、ならした差額部分は社会保険上の標準報酬の一部になりますので、入社時の標準報酬算定の基礎に含める必要があります。
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