1/1以降に退職した人の住民税一括徴収について

1月に退職する従業員がいます。住民税の徴収につき、1/1以降の退職者については一括徴収と聞いていますが、一括徴収だと徴収額が大きい為、一括徴収ではなく普通徴収にしたいと考えています。
普通徴収で対応することは可能でしょうか。

回答

結論から申し上げますと、一括徴収で徴収する必要がございます。

住民税の徴収は、企業に対しては特別徴収により毎月の給与から徴収することが義務付けられております。また、従業員が退職する場合は退職日によりその後の徴収方法は以下のとおりに定められております。

①6/1~12/31に退職   ⇒ 普通徴収もしくは一括徴収(本人が希望した場合)
②翌年1/1~4/30に退職 ⇒ 一括徴収

上記は法律で義務付けられており、個人や会社の都合で納付方法を選択することはできません。
従って、ご質問のように普通徴収に切り替えるということは原則として出来ません。

ただし、以下の場合には1/1以降の退職であっても普通徴収となります。

①給与や退職手当等から一括徴収分の税額を引ききることが出来ない場合
②死亡による退職の場合

上記のうち、納税対象者が死亡により退職扱いとなった場合は、その後の住民税は相続人に納税義務が発生します。
そのため、一括徴収は行わず、普通徴収に切り替えて下さい。

また、退職する従業員が退職後国外に転出される場合は注意が必要です。住民税は非居住者であっても納付の義務が継続します。
その為、一括徴収等で住民税の納付が完了していれば問題ございませんが、そうでない場合、納税管理人による納税事務処理を行うことになり、納税管理人の選任を始めとした諸手続きが必要となる可能性がございます。
退職者が海外に転出される場合は、退職前に納税処理を完了されることをお勧めいたします。

なお、12/31以前にご退職の場合は通常は普通徴収への切り替えとなりますが、退職者本人様が希望した場合につきましては、一括徴収での対応も可能です。退職時の状況に合わせてご対応下さい。

余談となりますが、転居等の理由で現在納付している市区町村と給与支払報告書提出先の市区町村が異なる方が1/1以降に退職された場合は、現在の納付先市区町村だけではなく、給与支払報告書を提出した市区町村にも給与所得者異動届出書を提出する必要がございます。
もし提出していない場合、後日翌年度分の住民税特別徴収決定通知書が御社に届いてしまい、ご退職された方の納付手続きが遅れる要因ともなり得ます。こういったことを防ぐためにも、ご退職時に一緒に手続きをされる方がよろしいかと存じます。

住民税の一括徴収にあたりましては、ご質問のとおり徴収金額が大きくはなりますが、法的に義務付けられていることでもございます。従業員の方には主旨をよくご説明の上、適切な形でご対応下さい。
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公開日: 税務・税法 賃金

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