【通勤災害】労災指定病院以外の病院で健康保険証を使ってしまった場合の手続き

先日、当社の社員が帰宅途中に転倒しケガをしてしまいました。
労災指定病院ではない病院で、本人の健康保険証を提示して、治療を済ませたそうですが、本来は労災保険にて保険給付が受けられるかと思います。
健康保険ではなく、労災保険を適用させるには、どのような手続きを行えば良いでしょうか。

回答

まずは治療を受けた病院に労災であることを伝え、本人に治療費を一時的に全額負担してもらいます。
その後、本人が負担した費用を請求するために、「療養補償給付たる療養の費用請求書」(様式第16号の5(1))を、労働基準監督署に提出します。(業務災害の場合は、様式第7号です)
提出する際、本人が負担した費用の領収書(原本)の添付が必ず必要になります。

では、労災指定病院で健康保険証を使って治療を受けた場合はどうすればいいのでしょうか。
その場合は、まず受診した病院に通勤災害であることを伝え、健康保険から労災保険への切替ができるかどうかを確認します。
切替ができる場合は、「療養給付たる療養の給付請求書」(様式第16号の3)を、受診した病院に提出すると、請求書と差し替えで、負担していた費用が本人に返金されます。(業務災害の場合は、様式第5号です)

タイミングや病院によっては、健康保険から労災保険への切替ができない場合もあります。
その場合は、保険者(協会けんぽ・健康保険組合)に労災であることを伝え、負担してもらった7割分の費用を返金し(一時的に全額負担となります)、上記の労災指定病院以外の場合の手続きと同じように、費用の請求を行います。
提出する際は、病院で本人が3割負担した費用の領収書(原本)と、保険者(協会けんぽ・健保組合)に返金した7割分の領収書(原本)、レセプト(診療報酬明細書)の添付が必要になります。

薬局についても、労災指定の薬局か指定ではない薬局があります。
手続き内容は上記と同じになります。(請求書の様式は異なります。下記URL参照。)

ケガの重傷度合や治療等の内容によっては、一時的ではありますが、大きな経済的負担が生じてしまいますし、手続も複雑化・長期化します。
勤務地や自宅付近の労災指定病院を把握しておくこと、労働災害が発生した時は、労災指定病院に行くようにすること、受診の際に労働災害であることを伝えること、領収書を必ずもらいなくさないようにすることなど、従業員に周知する事が大切です。


申請書様式は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/03.html

労災保険指定医療機関の検索サイトもありますので、活用してみてください。
https://rousai-kensaku.mhlw.go.jp/
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