総合職から一般職へ変更させる場合の留意点

コロナウイルス感染拡大の影響により、幾つかの事業部を閉鎖する事にしました。

他部署へ異動させるタイミングで、何人かの総合職社員を一般職へ変更したいと考えております。

この時に何か注意しなければならない事とかがありますでしょうか。

 

回答

総合職から一般職への職種変更を行う場合、その根拠となる資料、データ(過去数年間、適正に評価を行った評価結果等)等により一般職へ職種変更する場合の基準等をキチンと明示して対象者に説明等を行う事が求められます。
更に今回の場合、総合職から一般職へ職種変更するにあたり、給与に大幅な変更が伴うと存じますので、それに対する措置(代替措置、代行措置、経過措置)が必要になるかと思われます。
総合職と一般職の役割や職種内容等の違いなどにもキチンと言及しておいた方が良いでしょう。
 
職種変更(配置転換)命令は人事権行使の範疇ではありますが、給与の大幅な減額などが伴いますとその人事権の範疇を超える可能性があります。
法的には下げ幅の上限等はありませんが、対象となる方の生活を直撃する事にはなるかと思いますので社会通念上、不利益度合は大きいと考えます。故にこちらは慎重に行う必要があります。

会社として配置転換(職種変更)は必要な事ではありますが、やり方によっては対象者ではない方々への心理的な影響が出る事が懸念されます。
事業存続の為と言う大義名分のもと、会社の方針、決定と言う事で無理矢理進めてしまいますと、能力及び会社貢献度の高い方々までもが「こんな不誠実な事を平気で行う会社にこの先、在籍していても良いものか?」と言った疑念が生じる恐れがあります。
結果、優秀な人材が社外へ流出してしまうと言う弊害が生じる可能性もありますので、慎重を期する事が求められます。

言うまでもありませんが、労働契約法における労働条件の大きな変更となりますので、対象者の方にご納得頂いた上で、合意を得て頂く事が不可欠となります。


人事権行使の降格には種類がある
上記は職種変更による降格の可能性が発生する事例です。降格はケースにより扱いが異なります。ここでは人事権行使としての降格について記述します。(懲戒行使権としての降格もありますが、ここでは省略します。)
  1. 職位の引き下げとしての降職(解任)…職位(役職)を解きより下位の職員に変更すること、それ自体としては給与の減額を伴わない

  2. 職能資格の引き下げとしての降格(降給)… 職能資格や給与等級を引き下げること、それ自体が基本給を減額の効果を生じる

1.において、職位に対して役職手当が支払われていた場合には、職位を解かれることにより、事実上の減額となりますが、誰をどの職員に配置するかは会社の裁量において決定できると解されているので、職位変更の結果として付随的に生じたものであり、基本給の変更を生じないため、違法とはならないとされています。このため、就業規則等の定めや対象従業員の同意を要しません。(事前の説明はした方がよいと思います)
2.の場合、基本給の減額となり、重要な労働条件の不利益変更に該当しますので、従業員との合意による場合以外には、就業規則等に記載があることなど明確な根拠規定が必要です。
総合職と一般職には、処遇の他にもキャリア形成等に差がある場合が多く、変更には慎重さが求められます。
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