通常の報酬より低額の休業手当を支払った場合の随時改定(月額変更)

新型コロナの影響で2月26日から一部の社員を休業させ、基本給の8割の休業手当を支給しています。

3月支給給与では4日分の休業手当を支給し、4月支給、5月支給は全日分休業手当を支給することとなります。この場合、随時改定に該当するのでしょうか。

回答

一時帰休のため、継続して3か月を超えて通常の報酬よりも低額の休業手当等が支払われた場合は、固定的賃金の変動とみなし、随時改定の対象となります。

被保険者を一時的に休業させる一時帰休では、一時帰休による休業手当が支払われた日も支払基礎日数に含め、1か月の間に一時帰休による休業手当が1日でも支払われていれば、一時帰休の月として扱います。
「継続して3か月を超えて」ですので、休業手当が2か月だけ支払われ、次の月は通常の報酬が支払われた場合には、随時改定の対象となりません。

ご質問のケースでは3月、4月、5月の支給給与に休業手当が支給されていますので、6月変に該当するかを判断することとなります。

また、一時帰休が解消され、継続して3か月を超えて通常の報酬が支払われるようになった場合も随時改定の対象となります。

なお、一時帰休による休業手当等が支給された場合の定時決定では、7月1日の時点で一時帰休が解消しているか否かで定時決定の算定対象月が変わります。
<参考>日本年金機構:定時決定 3.留意事項(5)


一時帰休に伴う休業手当が支払われた月、一時帰休が解消している、解消していない、一時帰休中に別の固定的賃金の変動があるなど、事例により随時改定の有無、定時決定の対象月が変わりますので、注意が必要です。


◆自宅待機※となった場合は?

現に支払われる休業手当等に基づき報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定することになります。
その後、自宅待機を解消したときは、随時改定の対象となります。 


一時帰休等の措置がとられた場合における健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格及び標準報酬の取扱いについて(保険発第二五号・庁保険発第八号)


◆一時帰休状態の会社に入社した当初から一時帰休の資格取得時の標準報酬月額の決定は?

自宅待機の場合に準じて取り扱い、現に支払われる休業手当等に基づき報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定することになります。
その後、解消したときは、随時改定の対象となります。


◆時給は変わらないが、契約時間より少ない勤務になった場合は?

時給制の場合、勤務時間だけが増減しても原則月額変更の対象とはなりません。
契約にシフトで入る時間が明記されており、契約更新時にそれが減るのであれば、随時改定の対象になります。


◆残業が大幅に減った場合は?

残業手当などの非固定的賃金の変動によって、従前の標準報酬月額と比べて 2 等級以上の差を生じた場合であっても、固定的な賃金に変動がない限り、随時改定には該当しません。

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