フレックスタイム制における60時間超過時間の割増率

一部の社員を対象にフレックスタイム制導入を検討しております。

清算期間:3か月
1日の標準労働時間:8時間
所定労働時間:8時間×所定労働日数

そこで、時間外労働の賃金率について
①~⑤の認識が正しいかお伺いしたいです。

清算期間(3か月)を通じて
①所定労働時間を超えて労働した時間、ただし法定の総枠内
・・・賃金率1.00
②所定労働時間を超えて労働した時間、法定の総枠を超える
・・・賃金率1.25

また、1か月ごとに
③週平均50時間を超えて労働した時間
・・・賃金率1.25
④深夜残業
総労働時間に含み、割増0.25を支払い
⑤法定休日勤務
総労働時間に含まず、1.35を支払い

 

また、清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制において
「60時間を超える時間外労働の割増賃金(1.50)」は
どのように取り扱うべきなのでしょうか。

回答

①~⑤につきましてご認識の通りです。

フレックスタイム制における法定時間外勤務60時間超過の割増に関しましては、1か月単位での「時間外労働時間」が60時間を超過した場合に1.50割増の対象となります。

この場合の「時間外労働時間」とは、1か月単位で1.25の割り増し対象となる時間になりますので、3か月の精算期間の初月であっても①週平均50時間以上の時間が月間60時間を超過した場合、または②3か月経過後に結果的に1.25割増しとなる時間外労働時間が60時間を超過した時間が対象となります。


◆清算期間を通じて、法定労働時間の総枠を超えて労働した時間が時間外労働としてカウントされます。
清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制における時間外労働の計算手順
■最終月以外
(ⅰ)その月の実労働時間が週平均 50 時間以上になっているか?
→ 実労働時間が週平均 50 時間以上であれば (実労働時間>週平均 50 時間) → (A)超過時間をその月の時間外労働としてカウント
■最終月
(ⅰ)最終月の実労働時間が週平均 50 時間以上になっているか?
→ 実労働時間が週平均 50 時間以上であれば(実労働時間>週平均 50 時間) → (B)超過時間を時間外労働としてカウント
(ⅱ)【清算期間を通じた総実労働時間-(A+B の合計)】が清算期間における総労働時間を超過しているか?
→ 超過していれば (総実労働時間-(A+B) >清算期間における総労働時間)
→ (C)超過時間を時間外労働としてカウント
(ⅲ)(B)+(C)の合計時間を、最終月の時間外労働としてカウント


なお、働き方関連法により時間外労働の上限が設けられました。
このことにより、1か月単位では45時間未満の時間外労働の場合にも、3か月単位のフレックス制によって3か月での合計の時間外労働+法定休日労働が100時間を超えるケースなどでは、違法となりますのでご注意ください。
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公開日: 労務管理 賃金

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