家族を退院させて自宅で看取る場合、介護休業給付の受給対象となるか

社員から、父親の介護のために休業をしたいと申し出がありました。
当該社員の父親は末期がん患者であり、余命もわずかとのことで自宅療養に切り替えるとのことです。
現在、入院もしておりますが、介護休業給付の受給はできるのでしょうか。

回答

介護休業給付を受給するにあたり、①支給対象となる介護休業となるか、②介護休業給付の受給要件を満たす必要があります。

①介護休業給付の支給対象となる介護休業は以下の通りです。

(1)負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある家族を、介護するための休業であること。
(2)被保険者が、その期間の初日及び末日とする日を明らかにして事業主に申し出を行い、これによって被保険者が実際に取得した休業であること。

ご質問内容を拝見する限り、(2)については問題がないかと存じます。
(1)についてですが、まず父親はここで挙げられている「家族」に該当いたします。
そして「2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態」とは、厚生労働省の「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」をもとに判断いたします。
育児・介護休業法に定める「要介護状態」とは、要介護認定を受けていなくても、介護休業の対象となり得ます。
入院している場合でも、労働者本人が歩行、排泄、食事、入浴等の日常生活に必要な手伝いをしているのであれば介護休業の対象となり得ます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/otoiawase_jigyousya.html

文字通り「2週間以上」の介護が必ず必要とは限りませんので、2週間経たず職場に復帰することになった場合はもちろん、申告された余命が2週間に満たないような場合でも、当該判断基準を満たしていれば介護休業給付の支給対象となります。

②介護休業給付の受給要件
介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月(※)以上必要です。
なお、介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月(※)ない場合であっても、当該期間中に本人の疾病等がある場合は、受給要件が緩和され、受給要件を満たす場合があります。
(※)介護休業開始日の前日から1か月ごとに区切った期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日ある月を1か月とする。

ただし、有期雇用の場合には、上記要件に加えて、介護休業開始時において、同一の事業主の下で1年以上雇用が継続しており、かつ、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでないことが必要です。

介護休業給付の受給要件に「入院していないこと」というようなものはございません。よって、受給要件を満たした状態であれば介護休業給付を受給することができます。
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公開日: 育児介護休業 雇用保険手続き

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