合併に伴って消滅会社の健康保険組合に移行することは可能か?

グループ会社である2法人の合併を予定しております。

2法人はそれぞれ別の健康保険組合に、現在加入中となります。

 

A会社:存続会社(健康保険組合C)

B会社:消滅会社(健康保険組合D)

 

消滅するB会社の健康保険組合Dの方が料率は低いため、こちらに存続会社であるA会社の社員を健康保険組合Cより脱退させて、健康保険組合Dに加入させられないかと検討しています。

 

健康保険組合Dには、基本的には存続会社の健康保険組合に入るのが一般的との回答を得ていますが、消滅会社が加入している健保へ移行するのは現実的に難しいのでしょうか。

回答

合併においては、吸収合併と新設合併のいずれにおいても、合併の効力発生のときに現に存在する消滅会社のすべての権利義務は、存続会社(吸収合併の場合)または新設会社(新設合併の場合)に包括的に承継されます(会社法750条1 項、756条1項、厚生労働省告示第318号)。

健康保険の適用関係についても、存続会社の健康保険組合Cの適用をそのまま受けることとなります。よって、消滅会社での健康保険組合Dでの適用関係は消滅し、脱退に必要な手続きを行なう必要があります。
このため、健康保険組合Dへの加入は適用関係が上記のとおり承継されず消滅しますので、そのまま加入させるということは不可能です。

ただし、健康保険組合Cで健康保険の適用を受けているなかで、健康保険組合Dへ移管をするという選択肢は考えられます。

組合移管の可能・不可能については、組合同士の判断に委ねられます。健康保険組合Cを存続会社が脱退することが健康保険組合Cにとって著しい影響があると判断される場合、健康保険組合Dで新規加入を行っていない場合などについては組合の移管が認められない場合が多く、こちらの場合についてもハードルは高いものと言えます。

今回の件については、『保険料が低い』ということでのご検討かと思いますが、保険料のみではなく保険給付(付加給付)などの部分も含めてご検討されることをお勧めします。
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公開日: 社会保険・労働保険手続き

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