産業医による作業場巡視と衛生委員会出席の頻度について

労働者数50人以上の事業所にて、非常勤の産業医を選任しています。
業務委託契約にて毎月1度事業場へ訪問いただき、衛生委員会を開催していますが、産業医の事業場巡視と衛生委員会参加については、少なくとも月1回、会社の義務として行わせる必要があるとの認識ですが、その頻度を緩和することは可能でしょうか。
(数ヶ月に1度の実施とする等は可能でしょうか。)

回答

産業医の事業場巡視と衛生委員会出席については、法令上、毎月の実施を必須としない場合があります。

(原則)
事業者は、事業場の規模に応じた産業医の選任し労働者の健康管理等を行わせる義務があり(労働安全衛生法13条)、また衛生委員会の委員のうち1名に産業医を指名し、衛生委員会を毎月開催しなければならないとされています(法18条、労働安全衛生規則23条)。
産業医の職務は、労働者の健康管理等にかかる項目のうち医学に関する専門知識を必要とするものと定められますが(規則14条)、特に作業場等の巡視につき必要とされる頻度が定められています(規則15条)。

(産業医による巡視)
原則的に、産業医の作業場の巡視は少なくとも毎月1回行うこととされますが、事業者の同意と、事業者から産業医への所定の情報の提供が毎月行われる場合については、巡視の頻度を2ヵ月に1度へ変更することが可能となります。
…事業者の同意は、一定の期間ごとに、産業医の意見に基づき衛生委員会等での調査審議の上で行います。
…所定の情報とは、①衛生管理者による毎週の作業場等の巡視の結果、②衛生委員会等の調査審議を経て事業者から産業医へ提供される情報(健康への配慮が必要な労働者、新規使用設備にかかる作業条件等)、③時間外・休日労働が月100時間超の労働者と労働時間に関する情報です。

(産業医の衛生委員会への参加)
労働安全衛生規則では、事業者に衛生委員会の毎月開催が義務付けられますが、衛生委員会の開催の要件については法令の定めはなく、「委員会の運営について必要な事項は、委員会が定める」こととされています(規則23条2項)。
毎月開催される衛生委員会において、産業医の欠席が発生した場合に、ただちに違法となることはございません。ただし産業医の職務遂行を促す法の趣旨においても、毎月開催を定められている委員会について、その構成員の不参加を前提とする運用は望ましくないものと存じます。
産業医が衛生委員会に欠席せざるを得ない場合についても、議事録や情報の提供を遅滞無く行う等、労働者の健康管理に支障の無い運営が重要です。
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