ダブルワーク(副業・複業)の社員を雇用するにあたっての留意点

土曜日のみ勤務する社員を雇用することになりました。当該社員は当社に入社することによってダブルワークとなります。

既存勤務先での就業が月~金で40時間/週である為、週40時間を超えた勤務の部分については時間外割増の支払義務を負うことになりますが、その場合、月~金の実際の勤務時間をどのように確認したらよいでしょうか。社員に何か証明となるものを請求してもよいのでしょうか。

また、今回の入社にあたり既存勤務先への通知義務は必要となりますでしょうか。

更に、弊社では土曜日と祝日のみ8時間勤務で、既存勤務先では平日勤務となりますが、日曜日は稼働日とならないため過重労働とはならないと考えております。法的に問題はございませんでしょうか。

回答

法令上、労働時間通知義務といったことはございませんが、会社の安全配慮義務(労働契約法5条)の観点から社員の健康管理を保つ為、長時間労働にならないように労働時間を管理することや既存勤務先の業務内容を可能な限り把握することは必要です。

特に副業・複業や兼業での労働時間の管理方法は実務上も煩雑になり易いですが、本人、既存勤務先および貴社の3者間で労働時間を把握できることが望ましいかと存じます。
労働時間把握の方法としては、本人承諾の上で既存勤務先の労働契約書等のコピーを貴社に提出してもらうこと、貴社の労働契約書等を既存の勤務先に提出してもらうことを促します。
実際の勤務時間の確認についても、本人承諾の上、既存勤務先に実際の勤務時間を書面にて提出してもらい把握することが望ましいでしょう。

また、過重労働に該当するか否かは、文面上の記載では長時間労働の基準には達しないものの、その一方で心理的負荷に対する要因も同じように過重労働に該当するか否かを考えるうえでは重要です。冒頭に記載しましたが、既存勤務先の業務内容も把握することで社員の過重労働を予防していくことをご検討いただくことが望ましいかと存じます。

国の今後の方針として副業・兼業は推進していくこととしており、厚生労働省のモデル就業規則では、副業・兼業は「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」を削除しております。
一方で会社は安全配慮義務を負っていますので、社員の健康管理の為には長時間労働についても配慮する必要があることを考慮すると、許可制により副業・兼業対象者の労働時間把握が望ましいと存じますが、今後の方向性も考慮の上、少なくとも届出制により労働時間の把握が必要かと存じます。厚生労働省のモデル就業規則を参考に副業・兼業の規定を作成していくことも検討していく必要があります。
The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑