退職前の有休取得、みなし残業代は支払うべきか

当社では、月30時間のみなし残業代を導入し、30時間を超えた残業に対しては割増賃金を支給しています。
来月末に退職予定の社員がおり、その者は来月のすべての所定労働日について有給休暇を取得する予定となっております。来月は1日も出勤しませんので、会社としては来月のみなし残業代を支給しないことを考えておりますが、この対応で問題ないでしょうか。

回答

有給休暇を取得した場合の賃金の取扱いについて、以下の3つの方法が定められています。(昭和27.9.20基発675号)
1)平均賃金
2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
3)健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の30分の1に相当する金額(労使協定必要)

多くの事業所では2)が採用されているようです。2)の場合、上記通達において
「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金には臨時に支払われた賃金、割増賃金の如く所定時間外の労働に対して支払われる賃金等は算入されないものであること」
とありますが、残業代とはいえ、みなし残業代は時間外労働の有無にかかわらず毎月定額で支給される手当で、労働者としては全日有給休暇で勤務実績がなくとも当然に支給されると認識していると考えられます。

また、就業規則等に「給与計算期間の全ての所定労働日について就労しなかった場合にはみなし残業代を支給しない」といった定めがあり、労働者に周知されていれば、みなし残業代を不支給とすることは可能ではありますが、
「使用者は有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と定めた労働基準法第136条に反すると解される可能性があるため、全額支給するのが望ましいでしょう。
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公開日: 労務管理 有給休暇 賃金

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