海外勤務者への退職金支給の取り扱い

質問

定年時の退職金の内容で質問がございます。

 

当社には海外勤務社員がおりますが、最近、海外で定年を迎えたいという社員が増えております。

定年退職の際には退職金が支給されますが、税金の関係から就業規則を変更して、退職金の支払いを「日本へ帰任した際に支払う」こととしました。

 

この場合、退職金にかかる税制はどうなりますでしょうか。

 

帰国後居住者となってから退職金を支払うため、60歳で退職し退職金の支給を受けた国内勤務者と同じであると認識しています。

回答

結論から申し上げますと、変更したという就業規則の規定はお奨めしません。

基本的には帰国後居住者になって支給された退職金は日本の税制が適用されます。変更の背景には、駐在先で定年を迎えて、退職金を支給すると当該国の税制が適用されて、課される所得税が相当額のものになるので、それを回避したいということと考えます。
しかし、海外駐在員ではない国内に勤務している従業員の方は退職金の支給を「定年の日から1ヶ月後」のように定めているのではないでしょうか?

仮に駐在先である国の税務当局の調査が入ったとします。そのうえでかつてその国に勤務していた人が、定年後しばらく滞在し、帰国後に退職金の支給を受けていたこと、さらに国内勤務の従業員は定年の日から一定期間後に支給されている(=定年の日が支給事由の生じた日)であることが判明したとします。
当局は間違いなく退職金に対して課税権を主張してくるでしょう。

むろん、当局の調査が退職金の支給についてまで及ぶかはわかりません。しかし、それらが現実のものになった場合、対象が所得税なので追徴の対象になるのは退職した従業員の方です。
従業員の方にしてみれば会社の規程にしたがった結果、後に追徴の所得税が発生するということになります。可能性の話ですが、これがお奨めしないと申し上げる理由です。
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