人事担当者必見!2022年度最低賃金引上げの動向と対応を徹底解説!!

8月2日に開催された第64回中央最低賃金審議会において2022年度の地域別最低賃金額改定の目安が公表されました。(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-tingin_127939.html

 

それによるとAランク31円、Bランク31円、Cランク30円、Dランク30円となり、各都道府県に適用される目安のランクは以下のとおりとなっています。

 

参考:厚生労働省 令和4年度地域別最低賃金額改定の目安についてより抜粋

 

仮に目安どおり各都道府県で引き上げが行われた場合、全国加重平均の上昇額は31円(昨年度28円)となり、1978年に目安制度が始まって以降で最高額となります。また、引き上げ率に換算すると3.3%(昨年度3.1%)となっています。

 

今後は、各地方最低賃金審議会でこの答申を参考に、地域の実情などを考慮した上で各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することになります。

 

今回HALZ人事メディアでは、大企業はもとより、日本経済を支える多くの中小企業にとっても非常に関心の高いニュースである2022年10月から適用の地域別最低賃金について「ポイント」から「企業への影響」を中心に解説していきたいと思います。

 

1.ランク別各都道府県の最低賃金の引き上げ額とポイント解説

・最低賃金額一覧表

・主なポイントをピックアップ

◇大阪が初めて1,000円台となります。

◇Dランクのグループにおいては、3.6~3.7%もの上昇率

 

◇仮に、フルタイムパート(月平均所定労働時間163.3時間とする)が31円時給UPとすると、

⇒ 163.3時間 × 31円 = 月額5,062.3円 UP

⇒ 12か月換算で60,747.6円 UPとなり、

現実には社会保険料も自動的に増加しますので、企業の負担はそれ以上と言えます。

 

◇最低賃金の適用を受ける社員について企業は上記の最低賃金額以上の賃金を支払う義務があり、

これは試用期間であろうと変わりありません。

仮に労働契約において、最低賃金額に達しない契約を締結していた場合でも

最低賃金額の支払いが必要です。

 

◇万が一未払賃金を発生させた場合は、3年間は時効消滅しません。

退職後の社員であっても、請求される可能性があります。

 

◇最低賃金法違反には罰則も定められており、

例えば地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者は

50万円以下の罰金が科されることになります。

 

2.過去最高の最低賃金引上げに際し企業が行うべき3つの事柄

①社員の賃金額が最低賃金を下回らないかの再確認を徹底する

最低賃金は給与を支給している社員全てに適用されます。正規雇用者はもちろんのこと、パート・アルバイト等非正規にて雇用されている社員も全てが対象になります。

これらの社員が最低賃金を下回ることがないか確認しておき、10月までに対処しておくことが必要です。

 

最低賃金は時間給で設定されているため、時給で給与が支給される非正規雇用者の給与に注目しがちですが、月給で支給されている正規雇用者等も最低賃金を下回っていないか、確認することが重要です。

 

月給の場合、1か月の月給額を1か月の月平均所定労働時間で割ることで時給換算の単価が算出できますので、その単価と最低賃金額を比較する必要があります。

 

⇒ 月給(残業除く基本的な給与)÷1ヶ月月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時給換算)

 

②就業規則や賃金規程の見直しの必要性を確認する

また、正規雇用者の最低賃金が上がることで就業規則や賃金規程に記載されている賃金テーブルが底上げされる可能性があります。引上げ金額を把握し備えておくことも重要です。

 

③最低賃金の引上げに伴う新たな社保加入対象者の有無を確認する

最低賃金の引上げに伴い、これまで社会保険(健康保険・厚生年金)の適用対象ではなかった社員が社保加入対象になることもあります。

 

最低賃金の引き上げが予定されている2022年10月は同時に従業員数100人超の事業主に雇用されているパート・アルバイトなど短時間労働者として働く社員の社保加入条件が拡大されます。

 

最低賃金が引上げされることで社保加入条件の1つである「月額賃金が8.8万円以上」を超える場合がありますので、今まで社保加入対象とされていなかった社員についても確認をしておくことが必要です。

 

3.終わりに~さらに先を見据えた労務管理を~

・今後も続く最低賃金額の引上げ

物価上昇の背景もあり、政府はできる限り早期に全国加重平均 1,000 円以上を目指すという方針を掲げています。その為、2023年以降も最低賃金の引き上げが予想されます。今後はさらに人員配置や生産性の向上、収益/業務改善などが重要になってくるでしょう。

 

・助成金制度の活用も

中小企業・小規模事業者の業務改善を国が支援し、従業員の賃金引上げを図るために設けられた「業務改善助成金」という制度もあります。

このような制度をうまく活用しながら、負担を抑えつつ賃金引上げに取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

助成金の詳細や、就業規則・賃金規程の見直し、業務改善/効率化やDX化などをご検討の際は、まずは一度、お気軽に弊社までご相談ください。

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