【後編】会社を設立して初めて従業員を初めて雇い入れ・・・何をしたらいい?! スタートアップの労務管理をチェック!

会社を設立をして次は一緒にやっていく仲間を募るぞ・・・という経営者の皆さんより「保険証っていつ頃、どうしたらもらえるの?」「給与の支払いをしたいんだけど何から手をつけたらいいの?」「就業規則っていつ作成すればいいの?」などなど、そもそも何を会社の義務としてやらなければいけないのか、今後会社の拡大を目指す上で何は最初からやっておくべきなのか、というご質問をよくいただきます。そこで今回はそのあたりをまとめて紹介していきます!

 

前編はこちら

 

1.社会保険、労働保険の加入

会社は条件を満たす場合には各種保険に加入をする必要があります。

 

保険名 主な加入条件 手続き先
労災保険 労働者が1人でもいれば加入 労働基準監督署

 

雇用保険 以下に当てはまる労働者がいれば加入

・週20時間以上勤務

・31日以上雇用見込み

ハローワーク
健康保険

厚生年金保険

以下に当てはまる対象者が1人でもいる場合加入

(株式会社のケース)

・報酬が払われている常勤役員がいる

・正社員がいる

・1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が正社員の4分の3以上のパートアルバイトがいる

年金事務所

 

会社として各種保険に加入する際(一番最初の手続き時)には謄本が必要となります。雇用が決まったら手元に準備し、スムーズに手続きが進められるようにしましょう!

 

2.給与支払事務所等開設届の提出

給料を支払う場合には、所得税の納付が発生しますので事前に税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要があります。

所得税は原則毎月納付が必要なのですが、処理が大変という場合には半年分まとめて納付する制度もありますので、開設届を出す際に税務署で相談してみましょう。

 

国税庁:給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm

 

3.給与計算システムの検討

ひとまず勤怠管理を進めている状況で検討が必要なのが来るべき給与支給日に向け、どう給与計算をするか?です。自社で給与計算をする場合、現在クラウドで色々とサービスが出ており、どれもお試し利用が可能なので触ってみて一番使いやすいシステムを導入しましょう。

 

【比較】給与計算クラウドシステムおすすめ5選

 

とはいえ、給与計算を正しくするには各種法令の知識なども必要になるため、自社内では難しい、という場合はアウトソーシングの検討もあわせて進めましょう。

 

4.36協定の作成、届出

労働基準法では、労働時間は原則として、1日8時間・1週40時間以内とされています。

この時間を超えて労働者に時間外労働(残業)をさせる場合には、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結と所轄労働基準監督署長への届出が必要です。

残業をさせる可能性がある場合は必ず締結しましょう。

また、36協定を締結したとしても時間外労働の上限(「限度時間」)は、月45時間・年360時間となっています。臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできませんので注意しましょう。

 

36協定 記載例(東京労働局ホームページより)

 

5.就業規則の作成

就業規則は常時 10 人以上の労働者を使用する場合は作成・届出義務が生じます。

まだ従業員が10名いないので、作成をすぐしなくてもいいのでは?という場合もありますが、就業規則は会社のルールブックなので、できる限り10名未満でも作成がおすすめです。

いわゆる服務規律と呼ばれる「従業員としてこういう振る舞いをしてほしい・こういうことをしないでほしい」ということは従業員が1名の時でも当然あると思いますし、以下のようなことが急に発生した場合に、指針となる就業規則がないと対応に困ることがあります。

・従業員が私傷病で休み出してしまった(休職できるの?)

・従業員の身内に不幸があった(慶弔休暇などはどうしたらいい?)

・従業員が取引先ともめてしまった(懲戒処分ができる?)

 

就業規則には必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、定めをする場合に記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)があります。

 

絶対的必要記載事項

①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項

②賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

③退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

 

相対的必要記載事項

① 退職手当に関する事項

② 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項

③ 食費、作業用品などの負担に関する事項

④ 安全衛生に関する事項

⑤ 職業訓練に関する事項

⑥ 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

⑦ 表彰、制裁に関する事項

⑧ その他全労働者に適用される事項

 

作成した後はもちろんですが従業員への周知が必要になります。

厚生労働省のページで36協定や就業規則の作成支援ツールも公開されていますので活用してみましょう!

 

※「スタートアップ労働条件」サイト

https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/index.html

 

まとめ

簡単ですが会社のスタートアップ時に必要なことをまとめてみました。

手続きや書類の作成、システムの導入など、たくさんあって社内でやりきれない、、、そんな場合はぜひ弊社にご相談ください!

The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)


公開日:

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑