年末調整をクラウド化するメリット3選。紙とデータの違いとは?

人事担当者の年末の大仕事、年末調整の時期が今年も近づいてまいりました。

年末調整の大変さには色々な要因がありますが、主に計算に必要な情報量の多さと情報収集そのものの難易度の高さが影響しているかと思います。
それらを解決する手段として現在大注目なのが「年末調整の電子化(クラウド化)」です!

 

今回は年末調整の電子化がもたらす効果について、各種クラウドサービスの機能比較なども交えながらご説明させていただきます。

 

※申告書の記載例など、年末調整を紙で行う会社様にご利用いただける書式も無料公開中です。(2021年度版に内容更新済です)

【年末調整をスムーズに】令和3年度年末調整書式のご紹介

 

1. 年末調整クラウド化のススメ

年末調整の電子化(クラウド化)とはつまり、従来紙の申告書を用いて年末調整に必要な控除情報などを収集していた作業を電子データに置き換えるということです。

 

(1)法改正による国の電子化への後押し

2021年4月より適用された法改正で、年末調整申告書を電磁的方法(電子データ等)で提供する場合の税務署長の承認が廃止されました。

 

年末調整の情報は電子データ化した申告書への記載や保存が可能ですが、電子データで申告書を回収する場合は事前に税務署へ専用の申告書を提出する必要がありました。
申請後、承認を経て運用できるまで1カ月~2カ月程度時間を要するということもあり、税務署の承認を必要とするフローが、会社が年末調整の電子化に踏み込めない原因にもなっていました。

 

それが2021年4月1日以降に提出する年調関連の申告書より税務署長の承認が不要になりました。国としても年末調整の電子化を後押ししていることがわかります。

 

※税務署長の承認の他に電子化のために必要な処置は下記をご参照ください。
参考:年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するFAQ

(2)クラウド化するとこんなに楽

では、年末調整を電子化させることでどのようなメリットがあるでしょうか。
特にクラウドサービスを利用した場合について比較検討してまいります。

 

メリット①申告書の入手が楽!

<紙の場合>
年末調整の各種申告書は毎年国税庁のHPから入手する必要があります。
法改正がない年でも「〇年分」という箇所が必ず変わりますし、変更の見落としがあっても困りますので毎年最新のものを利用するのが望ましいでしょう。

そうなりますと、国税庁のHPが更新されているか確認する手間や印刷する手間が発生します。

 

<データの場合>
クラウドサービスを利用している場合、利用しているクラウドが最新の情報に自動で更新してくれます。
対応時期の事前アナウンスや対応後のお知らせなどがメールで届く設定にしておけば、待つだけで最新の申告書データが手に入ります。

 

メリット②申告書の収集が楽!

<紙の場合>
入社時に利用した扶養控除申告書をそのまま利用する場合、当該申告書を保存し年末調整時期に再交付する必要があります。
再交付する場合は誤って別の従業員に記載済の申告書を渡さないように細心の注意が必要です。

 

また、年末調整時期に新しい扶養控除申告書を交付する場合でも、申告書一式をそろえて交付すること、提出期限後は未提出の申告書やすべて未提出の従業員がいるか確認することなどが必要になります。

申告内容に会社の把握している内容との相違や誤りがあれば個別に問い合わせを行い、従業員の記載した申告書に更に人事部の方で修正を加えなければなりません。

申告書は記載欄が小さく文字が潰れることもあり、「正しい内容に見えるが正確に文字が読めないので念のため問い合わせ」たり、「修正した文字を記載する箇所が足りなくて枠外や別紙に記載する」などの余計な手間が発生してしまいます。

 

<データの場合>
クラウドサービスを利用している場合、人事部などシステム管理者を除き従業員が自分の申告書情報以外にアクセスできないよう制限をかけることが可能ですので、別の従業員に誤って情報を漏らしてしまうことはありません。

 

また、申告書データはボタン1つで全従業員に交付することが可能であり、送付前の枚数や種類の確認を従業員の人数分行う必要はありません。
申告書データ送付時に年末調整の回答期限のアナウンスをしたり、提出済の申告書や期限超過について一覧で最新情報を確認すること、必要に応じて対象者のみ申告書提出の再アナウンスなどを簡単に行うことが可能です。

 

データであれば記入欄が小さく文字が入りきらないということも、手書きだとちょっとクセの強い字で読みづらい(でも指摘しづらい)ということもありません。
内容の訂正も二重線ではなくデータの上書きで対応が可能ですので、最終結果の確認も非常にスムーズとなります。

 

メリット③申告書の記載が楽!

<紙の場合>
年末調整の申告書は一見どこに何を記載すれば良いのか従業員の方のみならず人事担当者も迷うほど複雑です。
国税庁の申告書には裏面に記載方法の案内があり、他にも各種リーフレットやQ&Aを従業員が確認しやすいように会社で用意することはできますが、それでも書き間違いや人事担当者への問い合わせが頻出してしまいます。

 

また、保険料控除申告書の保険会社名など記載するには枠が足りない!という問題や、何枚も申告書を書いていたら手が疲れてしまった…なども従業員からよく聞く悩みかと思います。

 

参考:【年末調整】保険料控除申告書の保険会社名称欄に「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社」が書ききれない件について

 

<データの場合>
クラウドサービスを利用している場合、1問1答のように従業員が回答しやすい独自フォームを用意していることがほとんどです。
その場合は最終的に回答内容を申告書の見た目に配置して出力することができます。

また、システムによっては「所得とはこういう意味です」「配偶者がいる人はこちらも更新してください」など回答箇所や全体の進行にガイドがあります。

 

そして、事前に従業員マスタを登録できるシステムであれば、住所や生年月日などマスタの情報と変更のない箇所は入力を省略することができます。
そのようなシステムでは、逆に変更箇所がある場合は年末調整で入手した最新の情報をマスタに連携できることも多いです。

 

デメリット:ネットワーク環境がないと利用できない

年末調整の電子化はメリットも多いですが、反面デメリットとして最も大きいのが「紙の申告書しか利用できない」という状況があることです。

 

クラウド化はネットワーク環境があることが前提となりますので、万一会社単位で環境が整っていないのであればクラウド化は不可能です。
また、クラウドで申告する場合は個人のPCやスマホがあることが望ましいですが、個人的事情でネットワーク環境にアクセスしづらい、また紙の申告書に慣れていてデータでの申請に苦手意識や抵抗感があるなど様々ご事情があるかと思います。

 

そのような場合は紙の申告書を利用する運用を続けるか、会社としてはクラウドを利用するが個別に紙の申告書での申請を依頼するなど臨機応変に対応が必要となります。

 

2. SRでできること

 

SRでは年末調整を紙で行う会社様、クラウドで行う会社様のご支援の他に、紙での作業からクラウドに移行したいという会社様へのご支援も行っております!

 

例えば、クラウド化したいけど方法がわからないという会社様のサポートは勿論、どのクラウドを入れるのが良いのかわからないという会社様、クラウドの初期設定や移行作業に手を貸して欲しいという会社様にもご支援をさせていただきます。

 

法改正情報のご提供やクラウド化に必要なお手続きについてご説明いたします。

参考:まだ間に合う!令和2年の年末調整改正点と年末調整システム導入のススメ

参考:【令和2年10月から】まだ間に合う!?年末調整の電子化に向けて今スグやるべきこと!

 

 

また、各種クラウドを比較し、最も会社様に最適なシステムをご紹介させていただきます。

 

 

 

 

SRは年末調整をもっと簡単にしたい会社様をご支援いたします

 

NTTドコモが調査結果を公開した2021年のスマホ利用率は92.8%となりました。

モバイル社会白書 2021

 

クラウドサービスはPCでなくてもスマホから利用できるものも多いです。

以上のメリットを考慮しても、一部のどうしても対応不可能な方のみ紙処理をしてでもクラウドサービスを導入した方がメリットが大きいと言えるでしょう。

 

クラウド化に興味のある会社様はぜひ一度ご相談ください!

 

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Ari

大小様々な規模の企業の社会保険手続きや給与計算業務に携わりながら、主に自分が知りたいことを記事にしている。業務効率化のためのツールも開発中。趣味は読書。某小さくなった名探偵マンガの主人公の書斎を再現することが夢。

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