【過去最大の引き上げ】令和3年度の最低賃金、今のうちにチェック!
令和3年度の最低賃金額が発表されました。
昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で40県が1~3円引き上げ、7都道府県は据え置きだった最低賃金ですが、今年は大幅に引き上げられます。
そこで今回は最低賃金制度についてまとめてみました。
1.最低賃金制度とは
最低賃金制度は、会社が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を定めた制度で、毎年10月に改正されます。
最低賃金には次の2つの種類があります。
- 地域別最低賃金:産業や職種にかかわりなく、各都道府県に1つずつ定められたもの
- 特定(産業別)最低賃金:特定の産業に従事する労働者を対象に定められたもの
※特定の産業・賃金額は都道府県によって異なります。詳細は各都道府県労働局または労働基準監督署へご確認ください。
パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態に関係なく、全ての労働者に「地域別最低賃金」が適用されますが、勤務先の産業が「特定(産業別)最低賃金」の対象である場合は「特定(産業別)最低賃金額」が適用されます。両方の最低賃金が同時に適用される場合は、高い方が適用されます。
2.令和3年度の最低賃金額は?
この度公表された令和3年度地域別最低賃金改定額は、40都道府県で引き上げ額28円、29円は4県、30円は2県、32円は1県となっています。
改定額の全国加重平均額は930円(昨年度902円)で、全国加重平均額28円の引き上げは、制度が始まって以降、最高額です。
地域別最低賃金の最高額は東京の1,041円、最低額は高知・沖縄の820円で、全ての都道府県で初めて800円を超えます。
各都道府県の改定額、発効年月日は以下の通りです。
(出典:厚生労働省 令和3年度地域別最低賃金額答申状況)
3.最低賃金の計算方法は?
最低賃金を計算する際、対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金です。残業代やボーナスは含まれません。では、具体的にはどのように計算すればよいのでしょうか。
最低賃金は時間額で定められていますので、月給制や日給制等、時間給以外の場合は時間額に換算して比較します。
- 時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額) - 日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額) - 月給の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額) - 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除した金額≧最低賃金(時間額) - 上記1〜4の組み合わせの場合
例えば基本給が日給制で各手当(職務手当等)が月給制などの場合は、それぞれ上の2、 3の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)と比較します。
計算方法についてもっと詳しく知りたい方はこちら⇒最低賃金のチェック方法は?
4.まとめ
最低賃金制度は必ず守らなくてはならない制度です。
最低賃金額に満たない契約は双方合意でも無効になりますし、故意に最低賃金を下回っていたわけではなくても最低賃金未満しか支払っていない場合は差額を支払う必要があります。また、罰則(地域別最低賃金額以上を支払わない場合は50万円以下の罰金、特定(産業別)最低賃金額以上を支払わない場合は30万円以下の罰金)も定められています。
特に今回は過去最大の引き上げ額ということもあり、人件費へのインパクトは大きいと思われます。今のうちに対策を考えておくことも必要ではないでしょうか。
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