【パパ休暇】「男性が」「夫婦で」育児休業制度のまとめ【パパ・ママ育休プラス】

「イクメン」が流行語大賞のトップ10にランクインした2010年。

 

「イクメン」とは育児に積極的に参加する男性のことを指す言葉ですが、10年経った今では、男性が育児に参加することが「積極的に」ではなく「当たり前に」行われる世の中になるように、と「イクメン」という言葉に疑問符を持つ方もいらっしゃるようです。

 

男性の育児休業は徐々に取得率が上がりつつあるとはいえ女性と比べればまだまだ少なく、更なる取得増を目指すべく国も法改正を進めています。

 

今回は男性の育児休業についてまとめました。

 

1. 男性の育児休業の現状を確認しよう

 

まずは男性の育児休業取得率と男性が取得できる育児休業について簡単にまとめていきます。

 

(1)男性の育児休業取得率の最新の数値は…?

 

厚生労働省の「令和元年度雇用均等基本調査」によると男性の育児休業取得率は7.48%が最新の数値となりました。

 

 

※令和元年度の数字は平成29年10月1日から平成30年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、令和元年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申し出をしている者も含む)の割合で算出しています。

 

徐々にではありますが確実に上昇している男性の育児休業取得率。
それでも女性と比べれば大きな差が開いています。

 

政府は2020年までに男性の育児休業取得率を13%とする目標を掲げていますが、現状は目標には程遠い数字と言わざるを得ません。

 

育児休業の取得率がなかなか上がらない理由として、賃金やキャリアアップへの影響に対する不安、職場の理解が得られない、業務が回らなくなる…などの弊害が挙げられます。
育児休業の取得方法がわからないというのも理由の1つと考えられるでしょう。

 

続いて男性の育児休業、夫婦で取得する育児休業など育児休業の種類についてまとめていきたいと思います。

 

(2)男性が取得できる育児休業は主に3種類

 

男性が取得できる育児休業は主に3つです。

 

① 育児休業
② パパ休暇
③ パパ・ママ育休プラス

 

育児休業が原則的な制度であり、②パパ休暇男性だけが利用できる育児休業の例外的制度、③パパ・ママ育休プラス夫婦がともに育児休業を取得する際に利用できる育児休業の例外的制度と考えることができます。

 

また、育児休業中の賃金保障は主に2つあります。

 

① 社会保険料免除
② 育児休業給付金

 

賃金は労働の対価として支給されるものであり、休業中=労働していない間の賃金を満額支給してくれる会社は多くありません。
しかし、社会保険や雇用保険に加入いる場合、育児休業中の社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)の免除や、雇用保険から育児休業給付金を受けられることがあります。

 

社会保険料はあくまで「免除」であるため、保険料を支払っていなくても「未納」とはなりません。
育児休業給付金は賃金の全額保障まではできませんが、受給要件を満たしていれば一定の金額を長期間受けることができます。

 

では、具体的に何の制度をどのような条件で取得できるのか確認していきます。

 

※本記事では社会保険料免除の説明は割愛いたします。

 

2.「パパが」「夫婦で」取得できる育児休業の制度について

 

原則的なルールから確認しましょう。

育児休業とは育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下、育児介護休業法)により定められた、職業生活と家庭生活との両立を支援するための制度です。

 

育児介護休業法には、育児休業は従業員が事業主(会社など)に申し出ることにより取得ができるということ、申し出を受けた事業主は一定事由を除き拒むことはできないということが明記されております。

 

この「一定事由」とは、具体的には「雇用期間が1年に満たない労働者」もしくは「育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者」のうち、事業主が労働組合もしくは労働者代表と労使協定を結んだ者である場合です。

 

育児介護休業法 第6条
事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの育児休業申出があった場合は、この限りでない。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
二 前号に掲げるもののほか、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの

 

つまり、育児休業は従業員が希望すれば取得できるというのが原則的な考え方であり、ここに従業員の性別が男女どちらであるかは関係がありません
男性であっても育児休業を取得することが可能です。

 

ただし、事業主が申し出を拒むことができるかの前に、そもそも育児休業を申請できない従業員もいます。
それは「その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者」などです。

 

育児介護休業法 第5条
労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者
二 その養育する子が一歳六か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者

 

育児休業は育児休業後の職場復帰を前提とした制度ですので、従業員に復職の意思がない場合はもちろん、有期雇用者で雇用契約延長の予定がない場合なども支給対象外となることがあります。

 

また、法定を超えて会社が育児休業を認めている場合もございますので、会社が社内規定への明記が、従業員は社内規定の確認が必要です。

 

(1)パパ・ママ育休プラスで1歳2か月まで育児休業の取得可能に!

 

育児休業を取得することができるのは、子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が申し出た期間というのが原則です。

 

ただし、両親がともに育児休業を取得しかつ以下の要件を満たした場合には、「パパ・ママ育休プラス」を利用することで1歳2か月まで育児休業を延長することができます。

 

〇要件

配偶者が、子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

 

例えば、ママが産前産後休業に引き続き、子の1歳の誕生日前日まで育児休業取得。保育園に入園ができたため、ママの育児休業は子の1歳の誕生日前日に終了したような場合です。

 

そんな場合に、パパが子の1歳の誕生日(上記、要件を満たせば、もっと前から取得できます)から1歳2か月まで育児休業を取得できることになるのがこの制度です。

 

なお、1人当たりの育休取得可能最大日数(産後休業含め1年間)は変わりません。

要件の詳細については厚生労働省のリーフレット等もご確認いただければと思います。

 

【取得可能パターン】

・ママが産後から引き続き1歳の誕生日まで育児休業を取得。1歳~1歳2か月までパパが育児休業を取得

・ママが産後半年から1歳2か月まで育児休業を取得。産後8か月~1歳2か月までパパが育児休業を取得

 

【取得不可能パターン】

・ママが産後から引き続き1歳2か月まで育児休業を取得。1歳~1歳2か月までパパが育児休業を取得

・ママが1歳~1歳2か月まで育児休業を取得。1歳1か月~1歳2か月までパパが育児休業を取得

 

なお、原則的な育児休業制度でも子が1歳以降又は1歳6か月以降、保育園に入所を希望しているが入所できない等一定の事情がある場合は、子が1歳6か月又は2歳に達するまでの間、育児休業を延長することができます。

つまり、原則的には1歳までが育児休業のリミットですが、「パパ・ママ育休プラス」を利用しなくても1歳2か月以降まで育児休業を取得することができる可能性があるということになります。

 

ママが先に育児休業を取得している場合に、パパが「パパ・ママ育休プラス」ではなく通常の育児休業を取得することも勿論可能です。

この2つの制度はどちらが優先されるという決まりはないため、状況に応じて使い分ける必要があります。

 

(2)1歳2か月以降も育児休業を取得したい場合の取得パターン

 

先述の通り、育児休業は原則1歳の誕生日の前日までが取得上限であり、パパ・ママ育休プラスは1歳2か月(最長で1年間)まで育児休業を取得することができます。

 

しかし、保育園に入所できないなどの理由がある場合には1歳6か月、また2歳まで育児休業を延長することができます。

当該延長は原則的な育児休業もパパ・ママ育休プラスも同様の要件が必要となります。

 

 

例えば、保育園入所はできたがママのサポートが必要などの場合は「パパ・ママ育休プラス」を利用するのが良いでしょう。

一方、保育園入所の目途が立たずママの職場復帰が決まっているなどの場合は育児休業の延長を利用するのが良いでしょう。

 

保育園入所の目途が立たず育児休業を取得したが、ひょんなことから保育園に空きが出たため「パパ・ママ育休プラス」に切り替えたい…ということも制度上は可能です。

その場合は切り替えの時期や申請方法などを管轄のハローワークに事前にご相談いただくのが確実かと思います。

 

(3)パパ休暇で1人の子につき2回まで育児休業取得可能に!

 

育児休業を取得できるのは1人の子に対し1回だけというのが原則です。

 

しかし、「パパ休暇」の制度を利用すると子の出生後、父親が8週間以内に育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても再度育児休業を取得することができます。

 

〇要件

子の出生後8週間以内に育児休業を取得していること
子の出生後8週間以内に育児休業が終了していること

 

子どもの出生後、産後休業と育児休業のタイミングを分けて取得できる女性に対し、男性には産後休業は存在しません。
どのタイミングで取得しても育児休業です。

 

そうなるとママの出産直後にママをフォローしようと育児休業に入った場合、職場復帰してしまうとその後育児休業を取得することができません。
これでは育児休業取得率の向上には繋がりません。

 

よって、女性と同じく子の出生後8週間以内に育児休業を取得した場合は、職場復帰をしても改めて育児休業を取得できるように「パパ休暇」という制度ができたのです。

 

出生後育児休業(パパの産後休業)を育児介護休業法に定めようと法改正案が出ていることを耳にしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、法改正前(つまり現時点)であっても2回の育児休業を取得することはできますのでご安心いただければと思います。

なお、出生後8週間以内に育児休業を取得した場合でも、その後当該8週間以内に育児休業が終了していない場合はパパ休暇を利用することはできませんのでご注意ください。

 

いつ育児休業を取得するのか、産後の1度目その後に2度目の育児休業を取得するのか、仕事ともすり合わせて制度をうまく利用できるとよいですね。

 

3.育児休業中の賃金保障について

 

育児休業期間中、給与が支払われないなど一定の要件を満たす場合には、「育児休業給付金」として、休業開始時賃金の67%(休業開始から6ヶ月経過後は50%)が支給されます。

 

この育児休業給付金は非課税のため、所得税はかかりません(翌年の住民税算定額にも含まれません)。
また、育児休業中の社会保険料は、労使ともに免除されます。給与所得が無ければ、雇用保険料も生じません。

 

その結果、手取り給与で比べると休業前の最大8割となります。

 

具体的に見てみましょう。

 

仮に毎月40万円(本給38万円+通勤費2万円)の給与で賞与がないAさん。

 

通常の手取り額は、社会保険料(標準報酬月額410千円)の健康保険料20,233円・厚生年金保険料37,515円・雇用保険料1,200円)と所得税(仮に税扶養1名)7,600円を控除されて、333,452円(住民税を除く)です(保険料は東京都協会けんぽとしました)。手取り給与から定期代を買っているので、実際は313,452円になりますね。

 

育児休業給付金は40万円の67%ですので、268,000円になることになります。

 

 

268,000円÷333,452円=0.803713 通勤費を含めた手取りで8割!

268000円÷313,452円=0.854995 通勤費を抜いた実際の手取りでは8割5分!!となるわけです。

 

それだけではありません。Aさんが育児休業を2ヶ月取ったと仮定しましょう。

 

育児休業を取らなかった場合の課税給与は38万円×12=456万円、育児休業2ヶ月とった課税給与は38万円×10=380万円 ザックリの計算ですが、年間の所得税は6万円以上少なくなりますし、翌年の住民税も年間で4万円以上少なくなるんです!

 

税金としてお得になる11万円を育児休業の2ヶ月に仮にプラスで考えてみたら・・育児休業をとらないで働いていた通勤費を除いた手取りとほとんど変わらないか、それ以上になることになります。

 

数字をみると、この制度、使わないのはもったいないとさえ思ってしまいます。

 

ただし、育児休業給付金には上限がありますので、月給が高い方にはお得度が下がりますのでご注意ください。

育児休業給付金の賃金月額の上限額456,300円(令和2年8月1日~3年7月31日)ですので、それに合わせて支給上限額は67%(休業日数が通算して180日になるまで)なら305,721円、50%なら228,150円です。

 

4.おわりに

 

育児休業は法律で認められた従業員の権利であり、育児休業を取得することを理由に会社が従業員に不利益な取り扱いをすることもまた法律で禁止されています。

 

他にも厚生労働省では、男性の育児と仕事の両立を積極的に促進し、業務改善を図る企業を「イクメン企業」として表彰し、その企業一覧をHPにて示しています

また労働政策審議会においては、男性の育休取得率の公表を大企業に義務付ける、子供が生まれる従業員一人一人への育休取得の働き掛けを企業に義務付ける、など育児休業の取得率向上に向けて様々な立案がなされています。

 

今後もますます目が離せない育児休業制度の改革について、皆様にもぜひピックアップしていただければ幸いです。

 

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Ari

大小様々な規模の企業の社会保険手続きや給与計算業務に携わりながら、主に自分が知りたいことを記事にしている。業務効率化のためのツールも開発中。趣味は読書。某小さくなった名探偵マンガの主人公の書斎を再現することが夢。

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