障害者法定雇用率は守られていますか?計算・罰則方法を解説!

障害者法定雇用率制度は2020年9月時点では2.2%ですが、来年度末までには2.3%になることが予定されています。

そんな中、2021年3月に0.1%引き上げられることが決まりました。

そもそも法定雇用率制度とはどのような制度なのでしょうか?

 

 

 

そもそも法定雇用率とは

障害者雇用率制度とは、一定の人数以上の労働者を雇用している企業に対して、その従業員数に比例した人数の障害者を雇用する義務を課す制度で、民間企業だけでなく、国や地方自治体などの行政機関でもこの法定雇用率を達成させることが義務づけられています。

 

現在の法定雇用率は2.2%ですので従業員数が45.5人以上の事業主に障害者雇用の義務が生じており、この法定雇用率を下回る場合にはペナルティもありますので注意が必要となります。

 

 

 

法定雇用率の推移

これまでの法定雇用率の推移は、民間企業の場合

1976年10月~:1.5%

1988年 4月~:1.6%

1998年 7月~:1.8%

2013年 4月~:2.0%

2018年 4月~:2.2%

となっており、2020年9月時点では2.2%ですが、2020年8月末時点での労働政策審議会障害者雇用分科会の審議の結果、2021年3月より 0.1%引き上げられることになりました。

 

こちらで決定した場合、2021年3月より法定雇用率は2.3%となり、「従業員数43.5人以上の事業主」に障害者雇用の義務が生じることになります。

 

 

 

企業が雇用すべき障害者の人数計算

それでは実際に企業が雇用すべき障害者の人数計算について確認していきましょう。

 

自社の雇用すべき障害者の人数=(常用労働者数+短時間労働者×0.5)×障害者雇用率2.2%

 

≪常用労働者数とは≫

・1週間の労働時間が30時間以上の方

・雇用期間の定めがない

・雇用期間の定めがあっても、1年を超えて雇用される見込みがある

 

≪短時間労働者とは≫

・1週間の労働時間数が20時間以上30時間未満の方

・雇用期間の定めがあっても、1年を超えて雇用される見込みがある

 

一週間の労働時間数が20時間未満の方はカウントしません。

【例】常用労働者:200人・短時間労働者:30人の企業の場合

(200+30×0.5)×2.2%=4.73人

⇒小数点以下は切り捨てとなるので企業が雇用すべき障害者の人数は4人となります。

 

 

 

業種による除外率制度

民間企業の障害者雇用率は2.2%ですが、中には障害者が働くことが難しい業種・職種もあることから「障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種」については、法定雇用率を算出する際に除外率に相当する労働者数を控除する制度(障害者の雇用義務を軽減)が設けられています。

たとえば常用労働者500人の企業で、除外率0%の場合、500×2.2%で11人雇用しなければいけませんが、除外率20%の業種(例.建設業)の場合(500-(500×20%))×2.2%で8人の雇用でよいとなります。

 

※「除外率制度」はノーマライゼーションの観点から、2002年法改正により、2004年4月に廃止なり、現在は経過措置として、除外率設定業種ごとに除外率を設定し、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げが行われています。

 

2014年4月と2010年7月に、それぞれ一律に10ポイントの引下げが実施されていますが、いつ完全廃止になるのかは決定していません。

〈出典〉厚生労働省「除外率制度の概要」

 

 

 

障害者雇用率の対象となる「障害者」の定義と人数カウント

では、どの程度の障害の方を雇用すればいいのでしょうか?

 

具体的には、障害の程度と1週間にどのくらい働くのかによってカウント方法が異なります。まず現在の法定雇用率の対象となる障害の種類は、「身体障害」「知的障害」「精神障害」で、具体的な条件については以下のとおりとなります。

 

【身体障害】

  • 障害:麻痺・切断などの「肢体不自由」「聴覚・言語障害」「視覚障害」「内部障害(心疾患・呼吸器疾患・肝臓機能障害 等)」
  • 条件:地方自治体から発行されている身体障碍者手帳を所有の方
  • 等級:障害の程度により、1~7等級に区分されている(1級、2級が重度障害者)

 

【知的障害】

  • 障害:理解力・判断力などの知的能力に課題がある障害で、金銭管理、読み書き、計算などに支障がでる。
  • 条件:地方自治体から発行される療育手帳を所有の方
  • 等級:障害の程度により、A(最重度・重度)・B(中度)・C(軽度)に区分されている(Aが重度障害者)

 

【精神障害】

  • 障害:統合失調症、うつ病(そううつ病)、神経症など(精神障害ではないが、てんかんも精神障害者として取り扱われる。)
  • 条件:自治体から発行されている精神障害者保健福祉手帳を所有の方
  • 等級:障害の程度により、1~3等級に区分されている(重度障害者無し)

 

上記の条件に加え、

  • 常用労働者は1人・短時間労働者は0.5人カウント
  • 週所定労働時間が20時間未満の場合カウントしない

障害の程度による人数カウント方法

〈出典〉厚生労働省「障害者雇用率制度の概要」

 

 

 

法定雇用率を満たさない場合

法定雇用率は義務であり、下回った場合にはペナルティが課せられます。

 

【納付金の徴収】

法定雇用率を未達成の企業のうち、常用労働者100人超の企業から、不足1人につき月額50,000円の納付金が徴収されます。

たとえ納付金を支払ったとしても雇用義務がなくなるわけではありません。

 

【ハローワークによる改善指導】

企業は「6月1日時点の障害者雇用状況報告書」をハローワークに提出することが義務付けられており、実雇用率の低い事業主に対して、「障害者の雇入れに関する計画」の作成・提出が求められる場合もあります。

それでも改善が遅れている企業に対しては、ハローワークからの指導が入ることがあります。

「障害者の雇入れに関する計画」の提出が求められているにもかかわらず、報告を怠ったり、虚偽の報告をすれば、30万円以下の罰金が科せられます。

 

【企業名が公表される】

雇入れ計画の適正な実施について勧告を受け、改善指導を受けたにも関わらず改善が見られない企業は、企業名が公表されます。会社の社会的な信用や信頼を失うことにもつながるため慎重に対応する必要があります。

 

 

 

まとめ

障害のある方の採用を行う場合は、障害の有無等を確認しなければなりません。

また、採用後も在籍者の状態確認が必要となる場合があります。障害についての確認の際には、相手のプライバシーに十分配慮して行わなければなりませんのでご注意ください。

 

詳しい情報については厚生労働省の「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインの概要」に記載がありますのでご確認ください。

〈厚生労働省〉プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインの概要

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