キーワードはオンライン化!?採用活動におけるコロナウイルス感染拡大防止対策まとめ
【背景】
2021年卒業予定の学生に向けた企業説明会が3月1日から解禁となりました。
しかし今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、イベントの中止、延期又は規模縮小といった防止策が講じられています。
また、就職活動における合同企業説明会や、中小企業による学生向けの説明会も例外ではなく、軒並み中止や延期になるという事態が起きています。
採用活動において会社説明会は、企業の魅力を学生に伝える場としての役割を担ってきました。そのファーストコンタクトの場である説明会が開催できない場合、自社に興味をもってもらう機会が失われ、最終的に内定へとつながる可能性のある学生を採用することが難しくなります。
新型コロナウイルスの影響を受けて、企業は今後の採用活動をどのように行うべきなのでしょうか。
【各社の対応】
就活情報サイト「マイナビ」を運営している株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中川信行)は、4月30日(木)までに開催する新卒学生向け合同企業説明会を中止すると発表しました。(2020年3月27日更新)
参考:『マイナビ2021主催イベント』開催方針について(2020年3月27日更新)
また、就活情報サイト「リクナビ」を運営している株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林大三)も4月30日(木)までのイベントの開催を中止と発表しています。
参考:『【開催中止のお知らせ】4/30(木)までの合同企業説明会など各イベントについて』
両社とも、説明会に参加する全ての人の感染リスクを防ぐことが難しいという判断からイベントの開催を中止すると発表しています。5月以降の開催については安全面に配慮しながら準備を進め、再開の検討をしています。
その他にも、内閣官房による『新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた2020年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動及び2019年度卒業・修了予定等の内定者への特段の配慮に関する要請について』が発表されました。
【影響】
株式会社マイナビはコロナウイルス感染拡大に伴い、2021年卒業の学生を対象に「マイナビ2021年卒大学生新型コロナウイルス感染拡大に対する就職活動実態調査」を発表しました。
調査項目①
新型コロナウイルスの感染拡大が予想されますが、ご自身の就職活動に何らかの影響を与えると思いますか
→影響はある・どちらともいえないが94.9%
9割以上の学生が少なからずコロナウイルス感染拡大の影響を受けていると回答
調査項目②
新型コロナウイルス感染拡大が予想される中、WEB化などの対策が取られていますが、就活における「対面」または「WEB」での実施についてどう考えますか
→会社説明会はWEB化してもいいが、1次面接以降は対面での実施が望ましいが49.2%
参考:『マイナビ2021年卒 大学生 新型コロナウイルス感染拡大に対する就職活動実態調査』
その他の企業につきましては、
「コロナウイルス感染拡大に伴い、選考活動への影響が出ていますか」という問いに対して、
影響が出ている・今後影響が出てくると思うと答えた企業が約98%でした。
影響(一部抜粋)
・採用スケジュールの延期
・説明会の参加人数が集まらない
・応募エントリーが集まらず、採用人数に影響、グループ面接ができない
・日程再調整による費用の負担増加、実務作業への影響増加
など主に採用人数や採用スケジュールへの影響が懸念されています。
また、「コロナウイルスの感染拡大による選考活動への影響を少なくするために、具体的な対策はお持ちですか」という問いに対して、対策を検討する企業が約9割。一方で対策の実施に至っていない企業が過半数という結果でした。
対策(一部抜粋)
・WEB面接・オンライン説明会の実施
・選考スケジュールの見直し
・合同企業説明会など外部イベント参加の見直し
参考:『 [第二回]新型コロナウイルスの感染拡大に伴う選考・採用活動への影響調査(ジェイック・スタジアム調べ)』
対策に挙げられているWEB面接やオンライン説明会は、数年前から徐々に導入する企業が増えてきました。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、直接対面しない代替手段として再注目されています。
その他にも従来の来社を伴う面接や説明会の中止など、安全・衛生に配慮した対応策が考えられています。また、対面する場合においてもマスクの着用や応接室を清潔にするための除菌、体調の優れない求職者の来客を予め抑制するなどの対応策を講じています。
以上のような影響・対策が講じられている中で、面接や会社説明会の代替案として効果的だと考えられるWEB面接やオンライン説明会の特徴をご紹介します。
【WEB面接】
WEB面接とは…
企業はオフィスやレンタル会議室、求職者は自宅やカフェなどインターネットの接続環境がある場所から、パソコンやスマートフォンを通してオンラインで面接をすることが出来ます。
『ポイント①ツールの登録をする』
企業は面接WEB面接を行う場合は、まずツールを選ばなければなりません。ツールの中には、規定の通話時間が無料のプランや、有料ですが通話時間に制限がないプランもあります。また、アプリをダウンロードしないと使えないツールもあるので事前の確認が必要です。このアプリのダウンロードは求職者も必要になる場合があるので、その場合は求職者への負担も念頭に置いた方がいいでしょう。
WEB面接ツール(一例)
・Skype
⇒Skypeのアプリをダウンロード後、アカウントの作成をすることができます。求職者がSkypeのアカウントを持っている場合は、招待が可能です。持っていない場合でも、マイクロソフトのアカウントがあれば利用することが出来ます。
・Zoom
⇒メールアドレスがあれば無料で登録できます。登録を行いアカウントの作成後、URLを発行することで相手をWEB面接に招待することができます。
・Googleハングアウト(2020年6月終了予定、後継はハングアウトMeet)
⇒企業と求職者双方にGoogleアカウントが必要です。アカウントがあればすぐに利用を開始することが出来ます。
『ポイント②通信環境を整える』
WEB面接において一番の懸念材料になるのが通信環境です。映像の乱れは多少目を瞑ることが出来ますが、音声の乱れは求職者側にも採用者側にも不快感(又は不安感)を与えます。お互いに乱れた場合は仕切り直しが出来ますが、相手に伝わっていない場合も想定して、面接の前に一度お互いの接続環境を確認してみましょう。
『ポイント③機材の準備をする』
社内のパソコンにはカメラが内蔵されていない場合があるため、外付けのカメラを買う必要が考えられます。
その他にも周りの雑音を拾う、また自身の声が小さく相手に聞こえないといった問題も起こります。対策として、マイク付きのイヤホンやスピーカーを準備しておきましょう。
『ポイント④時間の打ち合わせをする』
採用担当者は求職者との面接時間の打ち合わせが必要です。WEB面接は対面式の面接と違い、企業に対して行う訪問→受付→待機→呼出の手順を踏みません。面接を開始するときはURLを共有するなど、開始前の打ち合わせが必要になります。
また、時間ギリギリではなく余裕を持った準備が必要です。先ほど述べたようにインターネット環境が悪いと音や映像が乱れてしまうため、早めに準備を済ませるとよいでしょう。
メリット
・遠方の求職者と面接ができる
以前より注目されていたWEB面接ですが、場所を問わず海外や地方在住の求職者と面接ができるという点がメリットの一つに挙げられます。
また、求職者は現地に来なくても参加できるので、移動時間や交通費の削減にもつながります。企業にとっても交通費を支給する場合のコスト削減に効果的です。移動の有無など距離の制限がなくなるため、WEB面接は時間をかけない昨今のスピード感のある採用に適しているといえます。
・採用スピードの向上
先ほどスピード感と述べましたが、求職者は一社だけを受けている場合は少なく、複数の企業を同時に受けていることが予想されます。面接までのスケジュールが長すぎると、求職者はその間に結果が出た企業を選ぶ場合も考えられるため、その際の辞退を避けるためにもスピード感をもった採用というのは大切です。また、採用スピードが上がることによって、より多くの求職者と面接が出来ます。以下に記載する振り返りを用いて面接の質と数、両方の向上を期待することが出来ます。
・面接の様子を録画することが出来る
WEB面接では、面接の様子を録画することが出来るので振り返りが容易になります。
また、評価をするうえで迷った場合など、面接を担当していない人に確認をすることで採用基準のズレを修正することが出来ます。この確認を行うことで自社の採用基準に当てはまる応募者を早い段階から採用することが出来ます。
その他にも面接担当者は、自分の面接の進め方や声の調子、自分がどのような印象を与えるのかを確認することが出来ます。自分の姿を客観的に確認できるので、次回以降の面接を行う際の参考にすることが出来ます。
昨今はプライバシーに配慮をする必要があるため、面接の様子を録画する際は、求職者に許可をとるのが無難です。
デメリット
一見するとコストの削減や面接の振り返りの容易さなどメリットが目立ちますが、WEB面接にもデメリットが存在します。
・WEB面接には慣れが必要
初めてWEB面接を行う採用者や求職者は自分の声がどの程度届いているのか、どこを見て話せばいいのかわからない場合もあります。顔を合わせるといっても目線はカメラに向けないといけないため、カメラの位置によっては、どこを見ているか分からないといった印象を与えてしまうでしょう。
このようにWEB面接にもメリットとデメリットが混在しています。しかし、今回のように人が集まることが出来ない場合の対応策としてはとても有効だと考えます。
次に、コロナウイルスの影響により従来の説明会が開催できない場合の代替手段であるオンライン説明会をご紹介します。
【オンライン説明会】
オンライン説明会(WEB説明会)とはインターネットを利用し、パソコンやスマートフォンを通して求職者が視聴する説明会です。
オンライン説明会には、実際の説明会を中継してリアルタイムで配信するライブ配信型と、事前に録画した説明会を編集してインターネットでいつでも視聴できる録画配信型があります。
・ライブ配信型説明会
日時などが事前に決まっていてリアルタイムで行われるWEB説明会です。視聴者にはチャット機能が準備されている場合が多く、その場ですぐに質問をすることが出来ます。社員を通して会社の雰囲気を伝えやすいというメリットがあるのもライブ配信型説明会の特徴です。
・録画配信型説明会
企業が事前に準備をした動画を配信します。そのため、編集や動画を加工することで、求職者にとって視聴しやすい動画に仕上げることが出来ます。また、録画配信型は視聴者が何度も繰り返し視聴することが出来るので、伝えたいメッセージが伝わりやすい傾向があります。
オンライン説明会では、移動時間や交通費の削減など、求職者の負担を減らすことが出来ます。また、リラックスした格好で視聴することができます。わざわざ足を運ばなくても会社のことを伝えることが出来るのはメリットと言えるでしょう。
しかし、社内や実際に働いている社員の雰囲気を感じられるわけではないので、生の情報が手に入らない、伝わり難いといったデメリットがあります。
【まとめ】
先行きの見えない新型コロナウイルスの拡大は、企業や求職者、双方にとって負担や不安が生まれます。しかしWEB面接・オンライン説明会は、インターネットを通してであれば遠方からの呼び込みによる母集団形成をすることができるので代替手段としては、有効といえます。今後はまだ小規模な説明会しか開催できないのであれば、これらの手段を検討してみても良いかもしれません。
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