割増賃金を出せば、時間外労働、休日労働は可能?労働時間の計算の仕方は?
労働時間、休日、休憩など賃金と関わるものは労働者と経営者が一番関心を持っているところです。なお、長時間労働が蔓延する日本において、労働者の福祉の増進や雇用機会の確保などから「労働時間の短縮」が重要な課題とされています。そこで労働基準法では、労働時間に関して下記のように定めています。
目次
1.労働時間(所定労働時間)
会社の就業規則に決められている拘束時間から休憩時間を除いた時間を所定労働時間と言います。所定労働時間は法定労働時間以下で会社が定めています。
労働基準法では、1週間の法定労働時間を40時間として、1週の労働時間を各日に割り振る上限を1日8時間に規制しました。また、1週40時間の適用が困難な零細規模の商業やサービス業等には1週44時間の特例を設けています。
2.休憩時間、賃金の設定
2.1. 休憩と休日
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません。休憩時間は自由に利用させなければなりません。
国際労働条約では「7日の期間ごとに1回、少なくとも継続24時間の休暇が与えられるべき」旨が定められており、日本もこれに従い、労働者の心身の回復を図るため「週休制の原則」をたてたものです。例外:4週間を通じ、4日以上の休日を与えなければなりません。
2.2. 時間外労働時間
時間外労働について、三六協定が必要となるのは、法定時間外労働についてであり、所定外で法定内の例えば所定労働時間が7時間の会社であれば7時間超で8時間以内の1時間については、36協定と割増賃金の支払義務は、法律上は生じません。
三六協定は締結し、かつ所轄労働基準監督署長に届出をしなければ、その免罰の効力を生じません。
2.3. 割増賃金
使用者が労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分の率で割増賃金を支払わなければなりません。月60時間を超えた時間外労働の分は5割の率で支払わなければなりません(一定の中小企業は当分の間、
3.労働時間に関する制度の設定
3.1.1.1箇月単位の変形労働時間制
使用者は、労使協定又は就業規則その辺に準するもので定めることにより、1箇月単位の変形労働時間制を採用することができます。なお、この協定は行政官庁に届け出なければなりません。1箇月以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない旨ですが、変形期間内、変形期間の起算日から計算して、対象労働者の範囲を決めて、変形期間における各日及び各週の労働時間を決めます。協定の有効期間内には変形労働時間ができます。
変形期間における法定労働時間の総枠は
変形 変形期間の暦日数
40H× 7
という方法で計算します。例えば、暦日数が30日とすると、法定労働時間の総枠は
変形 30
40H× 7 =171.42Hです。
その範囲内で、各日、各週の労働時間を定めなければならないことになります。なお、171.42Hを超える部分の労働は法定時間外労働となり、割増賃金の支払義務等が生じます。
3.1.2フレックスタイム制
フレックスタイム制とは1箇月以内の一定期間内において、各日の始業及び終業の時刻を、労働者が自由に決定して働くことができる制度です。労働者がその生活と仕事の都合との調和を図りながら効率的に働くことができる制度であり、今後の望ましい勤務形態の1つと考えられています。
フレックスタイム制は、労働者が勤務時間を決定できるところに特色があります。就業規則等でまず始業の時刻と終業の時刻を労働者が決めるということを記載します。他の事項は労使協定で決めます。
フレックスタイム制に係る労使協定については、届け出に関する規定はされていません。対象となる労働者の範囲をあらかじめ定めておきます。業務によってはフレックスタイム制に不向きなものもあるからです。精算期間は1箇月以内の期間に限るものとします。精算期間における法定労働時間の総枠の範囲内で定めなければなりません。コアタイムとフレキシブルタイムの設定が必要となります。コアタイムは固まった時間帯で勤務が義務づけられている時間帯をいいます。フレキシブルタイムは、勤務するか否か労働者の自由とされる時間帯です。コアタイムはフレックスタイムの本質的なものではありませんが、会議や打ち合わせのために必要ということで通常設けています。ただし、
3.1.3. 1年単位の変形労働時間制
繁閑の差が季節等によって激しく、長期間を単位として変形労働時間制とした方が合理的である業種のために設けられた制度です。対象期間は、1箇月を超え1年以内とし、年間単位で休日の増化を図り、労働時間を短縮することを目的としています。
3.1.4. 1週間単位の非定型的変形労働時間制
実施要件はまず、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多く、かつ、これを予測したうえで就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難だと認められる事業であって、常時使用する労働者の数が30人未満のものに従事する労働者について、労使協定により、1週間の労働時間40時間以内、1日の労働時間の上限は10時間とすることができます。
なお、使用者は、1週間の各日の労働時間をその週の開始する前に、書面により労働者に通知しなければなりません。それに、労働者の意思を尊重する必要があります。
まとめ
労働時間に応じて、休憩時間の給付、割増賃金の計算をする必要があります。給与計算をする際、すべての状況を考慮しなければなりません。SRは給与計算のアウトソースの業務を承っていますので、何か不明なところがありましたら、ご遠慮なく、お問い合わせください。
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