未成年を正しく雇用できていますか?労働時間、労働条件など注意すべきことは?

少子高齢化と共に、若者の就職年齢もだんだん低くなっています。今の時代、アルバイトをしている高校生もさほど珍しくありません。

20歳未満の若者は未成年と定義されています。未成年は身体的な面も、精神的な面も大人と違います。発育中であり、通学でもありますので、労働して良い条件が成人とは違います。

では、それは一体どのような違いなのでしょうか。これから説明していきたいと思います。

 

1、最低年齢

原則、15歳になっていない児童を労働者として使用することは不可とされています。しかし、児童の健康及び福祉に有害でなく、非工業的事業に係る職業の場合は、13歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができることいなっています。映画の製作又は演劇の事業については、13歳に満たない児童についても同様です。

児童の心身とも発育が不十分であり、義務教育も受けなければなりません。そこで、義務教育が終了するまで、原則として、労働者として使用することを禁止することがこの制度の趣旨となっています。

具体的な区分は以下の通りです。

 

人事メディア

 

 

 

 

 

※15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで は基本的に雇用不可

 

2、年少者の証明書

18歳未満の年少者を雇用する場合には、特別な保護を要するものとされています。その保護が確実に行われるよう、事業場ごとに年齢を証明する書類(戸籍謄本・住民票等)を備え付けることとしています。

また、15歳未満の児童を雇用する場合は、年少者と同様、年齢を証明する書類を提出してもらう必要がありますが、合わせて、①児童の就学に差し支えがないことを証明する学校長の証明書 および ②親権者または後見人の使用許可申請書 を労働基準監督署に提出し雇用の許可を取る必要があります。これら3点の書類は、年少者の場合と同様事業所に常備しておく必要があります。

 

3、未成年の労働契約

親権の濫用を防ぐため、親権者又は後見人は、未成年者に代わって労働契約を締結してはなりません。しかし、一定の場合には、労働契約を、未成年者の代わりに解除することができます。

 

4、未成年の賃金

未成年の賃金について、親権者等が代理で受領することは禁止されています。未成年は独立して賃金を請求することができます。

 

5、年少者(18歳未満)の労働時間および休日

①     年少者(18歳未満)の労働時間

原則として、1日8時間、1週40時間であり、変形労働時間制および特例事業の特例時間は適用されません。ただし、非常災害などの場合は、時間外労働・休日労働・深夜業が認められます。

②     児童(15歳未満)の労働時間

修学時間を通算して、1日7時間、1週間40時間が限度です。(休憩時間は含めません)

③     労働時間の例外1

15歳以上、18歳未満の者については、1週間の法定労働時間を超えない範囲内で、1週間のうちのある1日の労働時間を4時間以内に短縮した場合、他の日の労働時間を10時間まで延長可能です。

④     労働時間の例外2

15歳以上、18歳未満の者については、1日8時間また1週48時間の範囲内で、一か月単位の変形また一年単位の変形での労働時間が可能です。

 

6、年少者の深夜業

深夜時間帯は22時から朝5時までです。

18歳未満の者は22時~5時まで勤務不可です。

15歳未満の者は20時~5時まで勤務不可です。

しかし、例外もあります。交替制によって使用する16歳以上の男性については、深夜業が可能です。それでも30分間の深夜業しか認められていません。

 

7、年少者の禁止業務

抵抗力が弱く、危害を十分に自覚しない発育過程の年少者については、安全、衛生及び福祉の見地から危険有害と認められる業務や坑内労働への就業が禁止されています。そのため、18歳未満の者は危険な業務、有害な業務、重量物を取り扱う業務、坑内労働に就かせてはなりません。

 

8、年少者と帰郷旅費

使用者の都合で解雇された年少者が、帰郷旅費がないため寄宿舎等に残ったり、使用され続けることを防ぐため、使用者に帰郷を負担させ、年少者を保護するものとしました。

 

まとめ

以上、年少者・児童を雇用するに当たっての基本事項についてまとめました。

6月も中頃になり、学校生活に慣れてきた学生達がアルバイトを始める季節にもなるかと思います。

御社に年少者、未成年の従業員がいる場合は、必ず労働条件・労働時間・提出書類に関してご注意ください。

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