健康保険の適用範囲の拡大!保険に合わせて生活が変わる!?
毎月一回、待ちに待った給料日…
ずらっと並んだ控除項目によって手取りが減っていて少しがっかり してしまうなんてこともありますよね。
そんな控除項目の1つである社会保険、 中でも平成28年は4月に続き10月にも健康保険に関する法改正 がありました。
特に10月の法改正により今まで健康保険には加入できなかった人 たちにも輪が広がったことで、今改めてスポットが当たっている「 健康保険」。
その制度と法改正の内容、よく似た制度である「国民健康保険」 との比較も用いてご説明したいと思います。
1.健康保険制度について
健康保険:社会保険の一種で、企業勤めの人(被保険者) とその家族(被扶養者)が加入する医療保険のことを言います。
被保険者や被扶養者の病気やけが、傷病による休業、出産、 死亡などに対して、医療費の負担や各種給付金を支給します。
国民健康保険:対して国民健康保険は、 自営業を行なっている人や退職した人が一時的に加入する医療保険 になります。
日本の健康保険制度は「国民皆保険」を掲げており、 国内に住所がある方であれば基本的には必ず何かしらの健康保険に 加入しなくてはなりません。
ですので、健康保険に加入している人とその扶養家族、 船員保険の適用や生活保護を受けているなどでなければ、 原則は国民健康保険に加入する必要があります。
では、加入対象者の違いの他に保険内容はどのような違いがあるのでしょうか。
代表的な例を数点挙げたいと思います。
2.健康保険と国民健康保険の違い
①運営元
健康保険は健康保険組合や協会が、 国民健康保険は各市町村の国民健康保険窓口が運営をしています。
②保険料の支払い
健康保険は被保険者と被保険者の属する企業の事業主で折半、 国民健康保険は全て自己負担となります。
③保険料の算出方法
健康保険は個人単位、国民健康保険は世帯単位です。
個人単位とは被保険者の加入者の年収などをもとに、 世帯単位とは世帯内の加入者の年収合計、 世帯内の加入人数などをもとに保険料を算出します。
つまり世帯単位では世帯年収が高いほど、また、 加入人数が多いほど保険料は比例して高くなります。
④扶養家族の存在
健康保険は認定範囲内で親族を扶養することができ、 扶養が何人増えても保険料は変わりません。
一方、国民健康保険には扶養という概念はありません。 そのため世帯単位の加入人数によって保険料が変わってくるのです 。
他にも様々な違いがあり、 各々の家庭によってどちらの制度を利用するかで保険料の額や受け られる補償が変わります。
基本的には働いているか否かなど本人の立場によって適用される保 険は変わるのですが、稀に選べる立場になることもあります。
例えば企業に勤めており健康保険に加入していたがその後退職をし たという場合、
健康保険の任意継続手続きをするか、
国民健康保険に切り替えるか、
切り替えるとしても軽減、減免の措置は取れるのか…
諸々を勘案の上、各々の家庭の判断で選ぶことができます。
今回の法改正では健康保険の適用範囲が拡大されたことが大きな話題と なりました。
具体的にはどう変わったのか、 10月の改正内容を中心にご説明したいと思います。
3.H28法改正によって生活が変わる!
平成28年10月、 健康保険と厚生年金保険が短時間労働者にも適用されるようになり ました。
短時間労働者とは学生以外で以下の条件を満たす従業員が当てはま ります。
・勤務時間、勤務日数が常時雇用者の4分の3未満
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・賃金の月額が88,000円(年収106万円)以上
・適用事業所での勤務期間が1年以上見込まれること
( 適用事業所とは常時500人以上の従業員が務める事業所のことを 指します。)
今回の法改正で年収106万円以上の短時間労働者にも健康保険が 適用されることになり、 パートに出ている主婦が被扶養者から外れる「106万円の壁」 が議論になったことも記憶に新しいです。
また、 10月の法改正では兄弟の扶養認定における同居要件も同時に撤廃 されました。
これら健康保険の適用範囲の拡大によって、健康保険の被保険者、 健康保険の被扶養者、国民健康保険の適用者など、 今までと同様の生活では今までとは異なった立場に置かれることに なる人が増えました。
そのため保険料があがってしまい、保険に合わせて働き方を変える必要が出てきたというような影響も出ています。
目先の保険料の多寡のみならず、先を見据えた医療保険選びと働き方の調整には頭を悩まされますね。
4.さいごに
平成28年4月は「標準報酬月額・標準賞与額の上限引き上げ」、 「傷病手当金・出産手当金の支給額の算定方法の見直し」 等の改正もありました。
今回の法改正は持続可能な医療保険制度を構築することを目的とし ており、被保険者や徴収額を増やす内容となりました。
ライフスタイルを変えざるを得ないなど影響を受けた方も多いので はないかと思います。
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Ari
大小様々な規模の企業の社会保険手続きや給与計算業務に携わりながら、主に自分が知りたいことを記事にしている。業務効率化のためのツールも開発中。趣味は読書。某小さくなった名探偵マンガの主人公の書斎を再現することが夢。
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