結局「年次有給休暇取得義務化」って いつから? 施行日は【2019年4月1日】~労働基準法改正~

 

平成19年12月に策定された『仕事と生活の調和推進のための行動指針(厚生労働省)』において、「2020年までに有給休暇取得率70%とする」との政府の数値目標が掲げられています。

 

また、改正が予定される労働基準法においては、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうちの5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないという内容が規定される見込みとなっています。

 

平成30年4月6日、政府は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」を閣議決定し、開会中の第196回通常国会に提出しました。法律案には、有給休暇5日の取得義務化が含まれています。この法案が可決された場合、施行日は平成31年(2019年)4月1日となります

 

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2018年7月2日 追記

6月29日の参院本会議にて、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案が可決、成立しました。 施行日は平成31年4月1日となります。

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この記事では、改正が注目される労働基準法の中の『有給休暇5日の取得義務化』について、あらためてご紹介いたします。

 

 

有給休暇5日の取得義務化』の背景

 

日本の年休取得率は、48.7%(2015年)。

「2020年までに有給休暇取得率70%」という数値目標とは まだまだ開きがあります。

 

また、「世界30ヶ国 有給休暇・国際比較調査2017」では、昨年度調査に続き、日本は有休消化率が世界最下位という結果になりました。2014年以降、最下位を脱していましたが、2016年にまた最下位となり2017年も回復を見せませんでした。

 

加えて、有給休暇を取得することに対し、「罪悪感がある」と考える日本人の割合は6割以上にものぼり、世界で最も多い結果となりました。そのことが有休消化率の低さに繋がっていると考えられます。(https://welove.expedia.co.jp/infographics/holiday-deprivation2017/)

 

現行の労働基準法では、そもそも労働者から使用者へ向けての時期指定(年次有給休暇の申請)を行いにくいという課題がありました。この課題を解消するために、労働基準法改正案の中に『一定日数の年次有給休暇の確実な取得』が追加されました。

 

 

有給休暇5日の取得義務化』とは

 

 

労働基準法の改正案では、年次有給休暇の義務化について以下のように定められています。

 

使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする(労働者の時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については指定の必要はない)

 

労働基準法改正案では、年次有給休暇の付与日数が10日以上の労働者に対し、1年間で最低「5日」は会社が労働者に年次有給休暇を取得させるという項目が追加されました。つまり、「5日」については会社が時季指定権を持つことになり、使用者は労働者から希望を聞いた上で「●月▲日に有給休暇を取得してください」というように時季を指定しなければならなくなります。

 

【義務が発生する対象労働者】 年次有給休暇の付与日数が10日以上の労働者

【時季指定をしなければならない日数】 5日

【取得期間】 年次有給休暇の付与日より1年以内

 

 

 

時季を指定して有給休暇を与えなくても良い場合

 

ただし、以下のような場合は、会社側が時季指定を行う必要はありません。

 

●1年に5日以上の有給休暇を自主的に取得している場合

●年次有給休暇の計画的付与で5日以上付与される場合

●「労働者自らの取得3日+計画的付与2日」など 計画付与と自主的に取得した年次有給休暇の日数が5日に達する場合

 

 

つまりどのような形であれ 労働者が年間で「5日」以上、年次有給休暇を取得できていれば 時季指定を行う必要はありません。 逆に、年次有給休暇が年間で5日に達しない場合は、足りない日数のみ時季指定を行う必要があります。

 

(例)労働者が自ら2日の年休を取得した

⇒ 残り3日間は会社が年休の時季指定を行う

 

(例)3日の年休の計画的付与が行われた

⇒ 残り2日間は会社が年休の時季指定を行う

 

取得義務化に向けての対策 ~年次有給休暇の計画的付与~

 

上記の通り、1年に5日以上の有給休暇を取得できる風土があり、労働者が年間で「5日」以上年次有給休暇を取得できていれば、義務化に伴う特別な対策は必要ありません。

ただし、全社員が5日間必ず有給休暇を取得しなければならないので、まずは社員の有休取得状況を正確に把握しておく必要があります。

 

 

そして、積極的な有給休暇取得の風土ができていない企業の場合は、有給休暇の取得率を上げるための対策を講じる必要があります。その対策の1つとして「年次有給休暇の計画的付与制度」挙げられます。

 

年次有給休暇の計画的付与制度とは、労働者が有給休暇を取得しやすくするために企業側があらかじめ有給休暇の取得日を割り振る制度のことです。

 

年次有給休暇の日数のうち5日は個人が自由に取得できる日数として必ず残しておく必要があるため、計画的付与の対象となるのは年次有給休暇の日数のうち、5日を超えた部分となります。 例えば、年次有給休暇の付与日数が10日の従業員に対しては5日、20日の従業員に対しては15日までを計画的付与の対象とすることができます。

 

有給休暇ハンドブック」(厚生労働省)

 

具体的には、以下のような計画的付与があります。

 

【1】企業もしくは事業所全体での一斉付与

企業もしくは事業所全体での一斉付与とは、全社員が一律で有給休暇を取得することです。

よくある例として、飛び石連休の平日をお休みとするなどの方法が挙げられます。

全員で一斉に休みを取るので、社員間の引継ぎコストがかからない、というメリットもあります。

企業、事業場全体を休みにしても顧客の迷惑にならない時期に、この一斉付与方式を導入するケースも増えつつあるようです。

 

【2】班・グループ別の交代制付与

【1】のように、企業や事業所全体で一斉に有給休暇を取得することが難しい場合は、チーム・グループごとに有給休暇を付与する日を決める方法が考えられます。たとえば、該当部署の仕事が落ち着いている時期に、該当部署ごとに有給休暇を設定します。

流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業、事業所で多く活用されているケースです。

 

【3】年次有給休暇付与計画表による個人別付与

【1】や【2】が難しい場合は、個人ごとに年次有給休暇付与計画表を作成する方法があります。たとえば、ゴールデンウィークや夏季休暇、年末年始などの大型連休に有給休暇を追加して大型連休とするのもよいでしょう。また、誕生日や結婚記念日などの個人的なイベントの日に合わせて有給休暇の取得を推進するケースもあります。

 

 

年次有給休暇の計画的付与を実施するために

 

年次有給休暇の計画的付与を実施するためには、以下のような手続きが必要となります。

 

【1】就業規則による規定

年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、まず、就業規則に「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする」などのように定めることが必要です。

【2】労使協定の締結

 実際に計画的付与を行う場合には、就業規則の定めるところにより、従業員の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定を締結する必要があります。
なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。
労使協定で定める項目は次のとおりです。

●計画的付与の対象者(あるいは対象から除く者)
●対象となる年次有給休暇の日数
●計画的付与の具体的な方法
●対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
●計画的付与日の変更

 

 

まとめ

 

2018年4月6日に、通常国会へ提出された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」が可決された場合、施行日は平成31年(2019年)4月1日となります。(記事更新:2018年5月)年次有給休暇の取得義務化へ向けて、企業・人事部は、全社員の年次有給休暇の取得状況の把握、年次有給休暇の計画的付与の実施をはじめとする準備・対策を進める必要があります。

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