変形労働時間、フレックスタイム、裁量労働・・・特徴を改めて整理します!part2
長時間労働の抑制や多様で柔軟な働き方の実現を目的として、労働基準法の一部が改正されることになりました。
~労働基準法改正のポイント~
1.中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予廃止
2.健康確保のために時間外労働に対する指導の強化
3.年次有給休暇の取得促進
4.フレックスタイム制の見直し
5.企画業務型裁量労働制の見直し
6.特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
7.企業単位での労使の自主的な取組の促進
1に関しては、3年後の平成31年4月1日からの施行になりますが、それ以外は1か月後の平成28年4月1日施行となっています。
さて、今回注目するのは、
4.フレックスタイム制の見直し
5.企画業務型裁量労働制の見直し
です。
フレックスタイム制、裁量時間制、変形労働時間制…
同じような労働時間に関する制度が複数あります。
前回に引き続き、それぞれの制度を改めて整理していきたいと思います。今回はフレックスタイム制です!
フレックスタイム制とは?
フレックスタイム制とは、労使協定に基づき、原則として労働者が各自の始業時刻と終業時刻を自由に決められる制度です。このフレックスタイム制では、1日8時間・1週40時間の労働時間規制の代わりに、清算期間における労働時間の合計によって時間外労働の有無が判断されます。
フレックスタイム制度は、労働者が自律的に出社や退社の時刻を決定することができるため、仕事と個人生活の調和を図ることができるというメリットや、通勤ラッシュを避けられるというメリットがあります。
フレキシブルタイムを定められるほか、会議などのために従業員の出社を確保する必要に備えてコアタイムを設定することもできます。一般的にはその2つを分けて運用されているケースが多いようです。
【フレキシブルタイム】
労働者がその選択により労働することができる時間帯=出退勤のなされるべき時間帯
【コアタイム】
労働者が労働しなければならない時間帯
出典:https://www.teamspirit.co.jp/catalyst/work-style/flextime.html
フレックスタイム制の導入には
フレックスタイム制を採用するには、始業・終業時刻の決定を労働者に委ねる旨を就業規則で定める必要があります。これにより労働者は、労働契約上、始業・終業時刻の決定権を取得できるようになります。
このほかに、使用者は、事業場に過半数労働者を組織する労働組合があればその組合、そうした組合がない場合は過半数代表者と労使協定を締結し、対象労働者の範囲、1カ月以内の清算期間、清算期間の総労働時間、および1日の標準労働時間のほか、コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合はその時間帯を定めることが必要になります(労基法32条の3、労働基準法施行規則12条の3)。
フレックスタイム制での時間外労働
出社や帰社の時間が自由に決められるのであれば、残業は発生しないのではないか?と考えてしまいたくなります。
しかし、フレックスタイム制でも残業、時間外労働は存在します。
通常の労働時間制度での法定労働時間は1週40時間、1日8時間と定められています。
法定労働時間を超えた労働時間については、労使間で36協定を締結し労働基準監督署に届け出た上で、残業代を支払う必要があります。
ただしフレックスタイム制では、「1週40時間、1日8時間」の法定労働時間ではなく、
精算期間における総労働時間の総枠(フレックスタイム制における法定労働時間)を超えたかどうかで時間外労働か否かを判断します。
清算期間における総労働時間(実働時間) ≦ 清算期間(日数) ÷ 7日 × 40時間
の計算式が成り立たなければ、残業代が発生します。
~フレックスタイム制における週の法定労働時間数~
1ヶ月が31日ある月 177.1時間
1ヶ月が30日ある月 171.4時間
1ヶ月が29日ある月 165.7時間
1ヶ月が28日ある月 160.0時間
※法定労働時間が1週40時間の場合
大石夏実
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