「持ち帰り残業」で労災認定
概要
金沢市で2011年に英会話学校講師の女性(当時22)が自殺したのは、自宅で長時間労働する「持ち帰り残業」が原因だったとして、金沢労働基準監督署が労災認定していたことが分かりました。
女性は大学を卒業した11年春、子供向けの英会話学校を運営する「アミティー」(岡山市)に入社。3月に金沢校に配属され、6月初旬に金沢市内の自宅マンションから飛び降り自殺。
労基署は残っていたメールや関係者の話から、女性は業務命令で英単語を説明するイラストを描いた「単語カード」を2千枚以上自宅で作っており、持ち帰り残業があったとしました。残業時間は労基署員が実際にカードを作成して時間を計測し、自宅で月に80時間程度の残業をしていたと結論付けました。
この結果、会社での残業を合わせると恒常的に月100時間程度の時間外労働があり、さらに上司から怒られる心理的負担も加わり、うつ病を発症していたとして、労災を認定しました。
労災の認定基準は?
労災と認定されるための要件としては、次の3つのものがあります。
①認定基準の対象となる精神障害を発病していること。(うつ病、統合失調症など。)
②認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。
③業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと。
②については、生死にかかわる、極度の苦痛を伴う、又は永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをしたなどといった心理的負荷が極度と認められる出来事があった場合や、発病直前の1か月におおむね160時間を超えるような、又はこれに満たない期間にこれと同程度の(例えば3週間におおむね120時間以上の)時間外労働を行うなどの極度の長時間労働があった場合などに認定されます。上記のような心理的負荷が極度と認められる出来事や極度の長時間労働に当てはまらない場合でも、具体的出来事について当てはめ・評価を行い労災認定されるケースもあります。
労基署によると、今回のような持ち帰り残業は自宅での作業実態の把握が困難であるため、認定されるのは珍しいケースであるとのことです。
この事例は極端な事例であるかもしれませんが、御社の社員の労働時間やオフィスの環境は如何でしょうか。社員の退勤時刻も1つの指標にはなりますが、早く帰宅をしていても自宅でオフィスと同様に仕事をしていた場合は労災認定される場合があるという点には注意が必要です。勤務時間はどうかだけではなく、業務量はどうかという視点も必要と考えられます。
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船水 希恵
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