複数事業所勤務者の交通費の取扱いについて

複数の事業所に勤務予定の従業員が入社予定です。その際、交通費は「通勤費」として扱えますか?

回答

■定期的に複数拠点に通勤している場合は「通勤費」として取り扱うことが可能です。
たとえば「月・水はA支店、火・木・金はB支店」といった勤務が固定されている場合、いずれの拠点も「勤務場所(就業場所)」とみなされ、「通勤手当」として支給することが認められます。
 □非課税限度額(公共交通機関利用で月15万円)以内であれば、所得税は非課税となります。
 □また、社会保険料(健康保険・厚生年金)の算定対象(=報酬)には含まれます。

◎不定期に他の事業所に応援や出張に行く場合の交通費は?
■ 不定期または臨時的に他事業所に赴く場合は、「業務交通費(実費弁償)」として取り扱います。
 □この場合の交通費は、労働の対価ではなく、会社が業務遂行に必要な費用を補填するものであり、報酬とはされません。
 □所得税・住民税ともに非課税で、社会保険料の算定にも含める必要はありません。

◎実費でなく定額で支給している場合はどうなりますか?
■ 実費を超える定額支給は、報酬とみなされる可能性があります。
 □実際の利用金額と無関係に定額を支給していると、「通勤手当」の性格ではなく、「給与の補填」と判断される場合があり、その場合は課税対象かつ社会保険料の算定対象になります。
 □定額支給を行う場合でも、明確な根拠・算出基準・利用実績に基づくことが重要です。
The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)

公開日: 交通費 税務・税法 賃金

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑