介護休暇と介護休業のどちらを取得すればよいのか?

弊社従業員より同居の実母の介護の為に休みを取りたいという旨の申し出があったのですが本人より「介護休暇と介護休業のどちらを取得すればよいか」という質問がありました。どちらも取得できる要件を満たしている場合、どちらの方を優先して取ればよいのか、という指針はありますでしょうか。

回答

御社の介護休暇や介護休業に対する規定によってくる、というのが一番の答えとはなりますが仮にどちらも法定通りの取得日数、どちらも無給の扱いとした上での判断という事であれば下記が判断基準として上がってくるかと存じます。

介護休暇
・時間単位での取得が可能
労使協定で除外されている場合を除き、1日単位でなく1時間単位での取得が認められます。1日休むほどではないが、午前中だけでも介護の為お休みとしたいという場合は介護休業として休まれるよりも、介護休暇を時間単位取得として使用する方がメリットがあるのではないかと思われます。
→介護休暇は対象家族1名に付き、年5日までの取得が可能であり取得回数に制限はございません。1日ずつ5回に分けても構いませんし一度に5日連続で取得されても構いません。
・申出に関する期限は特にない
急に当日にご家族の具合が悪くなった等の場合であっても介護休暇の取得はその日に申告する事が可能です。一方介護休業については休業開始予定日の2週間前までに書面等により事業主に申出をする必要がある為、緊急的な場合は介護休暇、ある程度予定を決めた上で対応する場合は介護休業、という考え方も出来るかと存じます。

介護休業
・93日間まで3回に分けて取得が可能
介護休暇は上述の通り対象家族1人につき年5日まで取得が出来ますが、ある程度長い期間取得したい場合は介護休業を取得することになります。なお、こちらの介護休業については対象家族1人に対して最大93日間となる為、年が変わってもこの93日間が変わる事はなく一度取得した日数はそれ以降増える事はありませんので注意が必要です。
・介護休業給付金の申請が可能
雇用保険に加入しており、受給要件を満たしている事が条件とはなりますが介護休業でお休みされた期間について給付金の申請が出来ます。介護休暇、介護休業共に無給である場合についてはこちらは大きなメリットとなり得ます。

どちらを取得するかはご本人様次第とはなりますが、どの程度の期間を取られるのか、何度か定期的に取る必要があるのか等である程度判断が出来るかと存じます。

また【令和4年度東京都男女雇用平等参画状況調査】という調査によって介護休暇、休業についてのデータが公表されておりましたので一部抜粋致します。御社の介護休暇、休業の規定の見直しや確認の指針になり得るかと存じますのでご確認ください。
介護休業の取得日数を93日と規定している事業所の割合:55.1%
介護休業の取得日数を94日以上と規定している事業所の割合:34.7%

介護休暇を取得した際の賃金の支給が全額ある事業所の割合:22.9%
介護休暇を取得した際の賃金の支給が一部ある事業所の割合:6.8%
介護休暇を取得した際の賃金の支給がない事業所の割合:67.7%

介護休暇の取得日数を年5日としている事業所の割合:73.4%
介護休暇の取得日数を年6~10日としている事業所の割合:9.4%
介護休暇の取得日数を年11日以上としている事業所の割合:12.4%

参考:令和4年度「職場のハラスメント防止への取組等 企業における男女雇用管理に関する調査」
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/koyou/danjo/r4/
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公開日: 育児介護休業

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