令和5年1月から協会けんぽの届出の様式が変わりました
傷病手当金支給申請書や出産手当金支給申請書など、協会けんぽへの申請を行う際、10個以上の届出について、新しい届け出用紙の様式が公開されています。令和5年1月以降に申請を行う場合は、新しい様式で届出をする必要があります。この記事では、今回変更になる手続きの種類や様式の変更点などについて詳しく見ていきます。
・様式が変更になった届出
出展:協会けんぽ「様式変更に関するリーフレット」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/20220901leaflet.pdf
協会けんぽに申請する手続きの中で、様式の変更があるのは主に上記の手続きについてです。
「傷病手当金支給申請書」などは、実務でも目にする機会の多い届出です。また、「任意継続被保険者資格取得申出書」「出産手当金支給申請書」など被保険者本人が申請するケースの多い申請書類については、書き方についての問い合わせを受ける機会も多いため、変更点を認識しておく必要があるといえるでしょう。
・主な変更点
今回の様式変更では、全体的にレイアウトが調整され、より分かりやすく、より記入しやすくする目的の変更が加えられています。また、申請書を処理する側の事務手続きの簡易化により、手続きの迅速化も見込まれます。特に、下記の点の変更が多く見られます。
記入するマス目の追加
記述式から選択式への変更
様式の使用期限の表示
受取代理人欄の削除
・具体例①:傷病手当金支給申請書
例えば、傷病手当金支給申請書の事業主記入欄の変更を見ていきましょう。
まず、最上部の名前欄が自由記入式だったところに、文字ごとの枠ができています。
①の勤務状況を証明する欄については、必要な記入内容がかなり簡略化されています。
これまでは、出勤は〇、有給は△、公休は公、欠勤は/と、内容によって異なる文字で記入しなければならなかったところが、出勤日のみを〇するだけに変更になっています。
また、②の給与支給額の証明欄も、これまでは基本給・各手当の内訳や控除計算方法の記入が必要だった部分が、①で出勤を選択した日を除いたほかの日に対して支給した給与額の合計だけを記入する証明欄となっています。
記入する内容の総量としては減って楽になっていますが、書くべき内容がこれまでと若干異なるため、例えば有給休暇を取得した期間とその分の支給額については、②の中で記載する必要が出てきています。様式の変更に伴い、これまでとは異なる書き方での証明が必要になっている点については注意が必要です。
・具体例②:健康保険限度額適用認定申請書
健康保険限度額適用認定申請書の場合は、氏名のフリガナ欄、生年月日欄、電話番号欄、理由の記入欄に枠が追加され、機械的に読み込みやすいようになっています。全体的な配置に大きな変化はありません。
・具体例③:任意継続被保険者資格取得申出書
任意継続被保険者資格取得申出書の場合は、特に2p目の被扶養者を記入する欄が大きく異なっています。氏名・住所以外に枠が追加され、選択肢で回答する項目が大きく増えています。また、被扶養者一人あたりの表示面積が増加し、見やすくなっています。
・具体例④:受取代理人欄の削除について
青枠部のように、旧申請書にあった「受取代理人」欄が新しいフォーマットでは記載がなくなっています。
例に挙げた以外にも変更点は複数あります。とはいえ、手続きの内容そのものが変更されるわけではなく、原則的にはあくまで申請書の様式だけの変更にとどまっています。それぞれの手続きについて必要な項目自体が増加している、というわけではありません。
・新しい申請書の入手方法
協会けんぽのホームページよりすでにダウンロード可能になっています。
下記のURLより個別の申請書にアクセスできます。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat297/henkou/
・旧申請書で申請したらどうなるか
令和5年1月以降に古い様式で申請を行った場合でも、申請自体が無効になるわけではありません。ただし、正しい様式で申請した場合と比べて事務処理に時間がかかる可能性があります。
・人事担当者への影響
様式の変更に伴い、これまでと記載内容が変わったものもあるので、会社証明欄などの記入に注意する必要があります。また、会社入力欄だけでなく、社員側の入力欄も変わっているため、変更内容を把握していないと社員からの問い合わせがあったときに誤った情報を伝えてしまう恐れがあります。制度自体の変更ではないため見落としやすい箇所ですので、注意しておく必要があるといえるでしょう。
・おわりに
人事担当者の仕事は、手続きを円滑に行うことだけでなく、従業員の立場に立って、どうしたらよいか迷うことのないよう導く役割もあります。人事担当者と違って従業員は実際にさまざまな手続きには慣れていないため、ちょっとした違いでも引っかかってしまい、誤った記入をしたり、どうしていいかわからなくなってしまうことがあります。加えて、傷病手当金の申請が必要な場合は当然その社員は病気やケガなどを負っている状態ですし、健康保険任意継続の申請を行う場合は退職して生活環境が変わる状態と、常に冷静に対応できるとは言い難い状態の場合も多いです。だからこそ、人事担当者としては、社員が迷うことなく手続きできるようサポートしていけるようにしていく必要があるでしょう。
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