令和4年10月施行!育児休業給付制度の改正ポイントを詳しく解説!

1.はじめに

2022年4月1日より、育児・介護休業法の改正が順次施行されているのをご存じでしょうか。

この改正により、企業として様々な対応を求められています。

【改正に至った背景】

2021年に厚生労働省が公表した資料「育児・介護休業法の改正について」では、改正に至った背景として、出産・育児等による労働者の離職、男性の育児休業取得率の取得率の低さを挙げています。

上記を解決するために、2022年4月から、2023年4月1日まで段階的に5つの内容が施行されます。
今回の記事では2022年10月1日から実施される「育児休業の分割取得」「産後パパ育休」について、詳しく解説いたします。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
※厚生労働省(育児・介護休業法の改正について)から抜粋。

 

2.【育児休業の分割取得】

育児休業の分割取得とは1歳未満の子について、原則2回まで取得できることです。
但し、3回目以降の育児休業が次の例外事由に該当するときは、この回数制限から除外されます。

例外事由

・別の子の産前産後休業、育児休業、別の家族の介護状態が始まったことで育児休業が終了した場合で、新たな休業が対象の子または家族の死亡等で終了した場合
・育児休業の申出対象である1歳未満の子の養育を行う配偶者が、死亡、負傷等、離婚でその子と同居しないことになった等の理由で養育することができなくなった場合
・育児休業の申出対象である1歳未満の子が、負傷、疾病等により、2週間以上の世話を必要とする状態になった場合
・育児休業の申出対象である1歳未満の子について、保育所等での保育利用を希望し、申し込みを行っているが、当面その実施が行われない場合

例えば、1歳未満の子について1回目の育児休業を取得して、その後に例外事由に該当する育児休業を取得して、その後に2回目の育児休業を取得することができます。
例外事由に該当する育児休業は回数制限から除外されるため、2回目の育児休業を取得できることになります。

【育児休業給付金】

育児休業給付金は原則2回の育児休業まで受けられるようになります。
また、育児休業の延長事由があり、かつ、夫婦交代で育児休業を取得する場合は、1歳~1歳6か月と1歳6か月~2歳の各期間において夫婦それぞれ1回に限り、育児休業給付金が受けられます。

 

3.【産後パパ育休(出生時育児休業)】

産後パパ育休は、男性の育児休業取得を促進するために男性の育児休業取得ニーズが高い子の出生直後の時期に、これまでの育児休業よりも柔軟で取得しやすい枠組みとして創設されました。

 

産後パパ育休は、産後休業をしていない労働者が、原則出生後8週間以内の子を養育するために取得する休業です。主に男性が対象ですが、養子等の場合は女性も対象になります。また、配偶者が専業主婦(夫)でも取得可能です。

対象期間

子の出生後8週間以内に4週間(28日)までが対象期間です。
この4週間は分割して取得することが可能ですが、初めにまとめて労働者より申し出ることが必要です。(初めにまとめて申し出ない場合は、事業主が後から行われた申出を拒むことができます。)
申出期間は原則休業の2週間前までです。出産予定日前に子が出生した等の場合は、1週間前までとなります。(労使協定により申出期間を1か月前とすることも可能です)

新たな制度

また現行制度はなかった休業中の就業が可能になります。
労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲※で休業中に就業することが可能です。
※範囲の上限
・休業期間中の所定労働日の半分・所定労働時間の半分
・休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満

従来の育児休業と同様、労働者が容易に取得できるよう、事業所にあらかじめ制度を導入し、就業規則や労使協定の整備など必要な措置を講じておかなければなりません。

 

まとめ

男性の育児休業取得率は、令和元年では7.48%でしたが令和2年度では12.65%と近年、徐々に上昇傾向にあります。
これまでの育児休業制度では、事情の異なるご家庭ごとに適した育児休業を取ることが難しい状況でしたが、10月から施行される育児休業の分割取得と産後パパ育休ではより柔軟に育児休業を取得することが可能となります。
企業としては規程の整備や本人とやり取りするフロー、社内様式の整備、各種社会保険の対応などが必要となるかと思いますが、男女問わず社員に育児休業の選択肢を示せる体制をご検討されてはと思います。

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