【前編】会社を設立して初めて従業員を雇い入れ・・・何をしたらいい?! スタートアップの労務管理をチェック!

会社を設立をして次は一緒にやっていく仲間を募るぞ・・・という経営者の皆さんより「保険証っていつ頃、どうしたらもらえるの?」「給与の支払いをしたいんだけど何から手をつけたらいいの?」「就業規則っていつ作成すればいいの?」などなど、そもそも何を会社の義務としてやらなければいけないのか、今後会社の拡大を目指す上で何は最初からやっておくべきなのか、というご質問をよくいただきます。

そこで今回はそのあたりをまとめて紹介していきます!

 

社員募集前の時期にやること

1、求人内容の検討

どのポジションの人を採用する?何時間働いてもらう?給与はいくらにする?ということはもちろん募集時には決めることになると思いますが、職業安定法で募集・求人時の労働条件で何を明示しなければいけない、ということが決まっています。

以下明示事項をおさえて求人を進めましょう。

 

  •  業務内容、契約期間、就業場所、労働時間、賃金、社会・労働保険の加入の状況、試用期間の有無及び内容
  • 募集主・求人者の氏名又は名称
  • 派遣労働者として雇用しようとする場合はその旨
  • 労働時間に関し、裁量労働制が適用される場合はその旨
  • 賃金に関し、固定残業代が含まれる場合はその詳細

 

2、労働条件通知書(雇用契約書)のフォーマット作成

採用にあたっては各種の労働条件を内定者に伝える必要があります。求人時の明示する内容とも重複しますので、先に労働条件通知書(雇用契約書)の内容をあわせて詰めておくと内定を出したあとに追加で検討することなく、スムーズに説明に移れます。

労働条件通知書(雇用契約書)の様式に指定はありませんが、以下明示しなければいけない内容は決まっていますのでこちらを盛り込んだ労働条件通知書(雇用契約書)を作成しましょう。

 

必ず明示しなければならない労働条件 定めをした場合に

明示しなければならない労働条件

① 契約期間に関すること

② 期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること

③ 就業場所、従事する業務に関すること

④ 始業・終業時刻、休憩、休日などに関する

こと

⑤ 賃⾦の決定⽅法、⽀払時期などに関する

こと

⑥ 退職に関すること(解雇の事由を含む)

⑦ 昇給に関すること

 

※①~⑥は特に重要なので書面(労働者が希望した場合は、FAXや電子メール、SNSでもOK)での明示が義務

① 退職手当に関すること

② 賞与などに関すること

③ 食費、作業用品などの負担に関すること

④ 安全衛生に関すること

⑤ 職業訓練に関すること

⑥ 災害補償などに関すること

⑦ 表彰や制裁に関すること

⑧ 休職に関すること

 

労働基準法関係主要様式ダウンロードページ

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/

 

≪Point≫

労働条件の中でも特に重要なのがどのような労働時間制度をとるかと賃金制度をとるかです。

どのような制度をとるかで働きやすさの向上や残業時間・残業代の削減につながりますので、早めの検討がおすすめ!

 

・労働時間制度って?

通常の労働時間制度→1日8時間以内、週40時間以内での勤務。いわゆる1日9時~18時(休憩1時間)というような固定時間で働く場合。

 

1か月単位変形労働時間制→1か月以内の期間と期間内の総労働時間を定め、その枠内での勤務をする制度。

繁忙日は10時間、それ以外の日は6時間勤務など日によって違う労働時間のシフトを組んで働く場合。繁忙時期が明確な場合によく導入されます。

 

フレックスタイム制→従業員本人が毎日の出勤、退勤時間を決めて勤務する制度。1日何時間働かなくてはいけない、という決まりはなく1か月など会社で決めた期間で所定の労働時間を勤務するように日々自身で調整して働くことが可能。

 

裁量労働制→業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に本人の裁量にゆだねる必要がある場合に、あらかじめ決めた時間働いたとみなす制度。導入できる対象者(職種)が限定されている。

 

・賃金制度って?

基本給はどう決めるか、諸手当は何を支給するか、賞与や退職金は支給するかなど賃金をどう支払うか、という考え方。

スタートアップ企業で導入の多い定額残業代制をとるかなども要検討です。

 

社員内定~入社前にやること

1、労働条件の明示(雇用契約の締結)

労働条件通知書を内定者に渡しましょう。

労働条件通知書の形で労働条件を書面で渡すだけでも会社の義務としては問題ありませんが、本人が労働条件に同意したという記録を残したほうが後々のトラブル防止につながるので雇用契約書の形で取り交わし、1部ずつ本人と会社で保管するのがベター。

今は電子契約も増えていますので、それが可能なシステムの導入もおすすめです。

 

2、入社書類(必要情報)の回収

給与計算や社会保険の必要な情報やリスクヘッジに必要な資料として主に以下のような情報(書類)を会社は回収する必要があります。

 

①給与支給、社会保険手続きに必要

  • 給与の振り込み先の情報
  • 通勤手当の支給がある場合、ルートや金額の情報
  • 年金手帳(基礎年金番号)
  • 雇用保険被保険者証(雇用保険番号)
  • 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書
  • 源泉徴収票(当年内に前職がある場合)
  • 扶養する家族がいる場合、その情報
  • マイナンバー

 

②リスクヘッジ観点から提出をしてもらうか会社判断

  • 住民票記載事項証明書(申告住所が正しいかなど含め実態確認)
  • 誓約書(守秘義務や会社ルールの順守といった内容が多い)
  • 身元保証書(身元保証人が、従業員の経歴などに問題がないかの保証や、会社に損害を与えた場合に連帯して賠償責任を負うことを契約するもの)
  • 緊急時連絡先、家族情報

 

なお、WEB上で必要情報を回収するクラウドサービスが現在多く出ています。人数が少ないうちは利用が無料というサービスもありますので「何を回収した、してないの管理が面倒」「テレワーク中だから書面で郵送されても・・・」という会社は導入を検討しましょう。

 

3、勤怠管理の方法の検討

適切な給与計算、健康管理のため会社は従業員の勤怠をきちんと管理する義務があります。(管理職であっても記録は必要です。労働者でない役員は不要)

入社当日から記録が必要なので、どのように今後勤怠を管理しているか事前に検討しましょう。

 

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインより「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」

使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること

(1) 原則的な方法

  • 使用者が、自ら現認することにより確認すること
  • タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

(2)やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合

① 自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明を行うこと

② 自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との間に著しい乖離がある場合には実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること

③ 使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、労働者等において慣習的に行われていないか確認すること

 

最初は紙やExcelに記録しておく、でももちろんOKですが、集計・管理等が大変なことと上記ガイドラインにもあるように自己申告ではなく、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎とすることが求められているため、勤怠管理システムを導入することをお勧めします。

 

※【比較】勤怠管理クラウドシステムおすすめ7選

【比較】勤怠管理クラウドシステムおすすめ7選

 

4、健康診断の実施

労働安全衛生規則第43条で、従業員を雇い入れた際に健康診断を行うことが義務づけられています。入社後の実施でも問題ないですが、仕事が始まると忙しいという場合も多いので入社前に実施をしてもらうケースも多いです。検査が必要な項目は下の通り。検査項目の省略は認められないので注意しましょう。

(病院に「雇い入れ時健診」と伝えれば基本的には病院側できちんと対応がされます。)

 

既往歴および業務歴の調査

自覚症状および他覚症状の有無の検査

身長、体重、視力および聴力の検査、腹囲の測定

胸部エックス線検査

血圧の測定

尿検査

貧血検査

肝機能検査

血中脂質検査

血糖検査

心電図検査

 

なお「医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の事項に相当する事項については、この限りではない。」という定めもあるため、直近前職で健康診断を実施していて上記項目について健診結果を出せる場合はあらためての実施の必要はありません。

 

後編に続きます。

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