【末締め】入社月に給与の支払いがないことは違法になる?【翌月払い】
当社は給与の締め・支払いを「末日〆翌月25日払い」として運用しております。
これによると、毎年4月に入社する新入社員は入社した4月に給与の支払いが無いことになります。
内定者にはまだ支払日について説明をしていないのですが、この場合労働基準法第24条に定められている「毎月1回以上」という賃金支払いの原則に反しないのでしょうか?
回答
賃金支払いの原則における「毎月1回以上」という文言は、あくまでも給与を支払うペースのことですので、開始時期については決定されておりません。
つまり、一度支払いをした日から等間隔で月に1回以上の支払いがあれば、賃金支払いの原則を満たすことが出来ます。
この場合4月から入社する新入社員に対しては、4月分の給料を4月に払っても、5月に払っても、8月に払っても問題ありません。
(最も、8月支払いの場合は約5か月間もの間社員は無給で過ごさなければならず、これはどう考えても不可能な為、民法90条の「公序良俗に反する」規則であるとみなされる可能性が高いです。)
ただし、新入社員に対してはその旨を説明して十分に理解をしていただくということが必要になります。説明が不十分なままですと、「給与が振り込まれないのではないか」等不信感を抱かせてしまいます。
また、内定者に対して「末日〆翌月25日払い」という支払方法を取っている旨を労働契約締結時に説明しなかった場合、労働基準法15条1項、労働基準法施行規則5条3項の「賃金の締切り及び支払の時期」について明示しなかったものとして、違法となってしまいます。
社員の生活に無理がないような規定を定めた上で、十分な説明をすることが求められます。
ご質問の場合ですと、ごく一般的な支給方法だと思われますので、内定者の方には「末日〆翌月25日支払いだから4月には給与支払がない」と説明さえすれば特に問題ございません。
募集時の条件と違ってはいないか?
入社の経緯を問わず、募集する際には給与条件を明示しているはずです。何らかの理由で募集時の給与条件から変更した場合、入社前に説明し、内定者に判断(入社するか否か)してもらう必要があります。今回のコロナ禍で、入社者に対して通常通りの処遇が難しい状況に置かれている場合でも、誠意をもって説明し、平常時以上に双方の合意が必要でしょう。
給与制度そのものについても少し説明があるといいでしょう。
毎月の給与の計算方法や支払いについてだけでなく、関連情報として、給与上の年間イベント(賞与や年末調整など)や、昇給の仕組みなどについての説明があると、従業員の安心につながります。給与に関する情報はブラックボックス化しやすいので、ある程度開示することで、信頼関係の構築や定期的な見直しにもつながります。
給与制度は会社の方針を反映している
給与制度は、従業員の生産性と関連し、毎月の給与(生活給としての要素が大きい)のほかに賞与を支給したり昇給することで、従業員が出した成果を従業員に分配する仕組みを取るのがよくあるケースです。また、業界や業種ごとに適した体系があり、一概に”これがベスト”とというものはなかなかないのも事実です。
従業員への影響が大きいため、成果配分等を工夫し、透明性を高めるなどをすることで、より納得性の高い給与制度となれば、従業員のモチベーションも上がり、お互いの信頼関係はより強固なものとなるでしょう。
最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)
公開日:
賃金